2018 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of Glycoside-Based Middle Moleucles via Sequential Site-Selective Functionalization
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
18H04405
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 善弘 京都大学, 化学研究所, 助教 (90751959)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 位置選択性 / グルコース / 中分子 / エラジタンニン / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、糖関連物質の合成において不可避であった多段階の保護-脱保護に基づかない、無保護糖の連続位置選択的官能基化に基づく新しい逆合成解析により、生物活性配糖体中分子の効率的合成法の開発を研究対象としている。この達成により、同一官能基の反応性をも制御し得る有機合成化学の力を示すとともに、合成の煩雑さが発展を妨げている糖質科学の発展に貢献する事を目的としている。水酸基の連続位置選択的官能基化によって、グルコースから7工程でcoriariin Aの全合成を達成していたが、各ステップの最適化を行っていたところ、触媒制御で位置選択的アシル化が進行することを見出した。同様な置換様式を有する単糖グルコース誘導体でアシル化の検討を行った結果、同様の位置選択的アシル化が進行することが確認された。そこでこれまでに確立してきた位置選択的官能基変換に加え、本新規位置選択的アシル化反応を鍵とした、3,6-HHDP型エラジタンニンpunicafolinの全合成に取り組んだ。連続位置選択的官能基変換によって、必要な没食子酸ユニットを望む位置に導入した後、グルコース部位のピラノース環の反転を伴う酸化的カップリングの段階には検討を要した。銅-アミン錯体のスクリーニングによって速やかにカップリング反応が進行することを見出し、グルコースから7工程でpunicafolinの初の全合成を達成できた。これによって、多量体エラジタンニン類の合成に展開可能な基盤技術を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、グルコピラノシドの新規位置選択的アシル化を見出し、触媒スクリーニングの結果、80%を超える位置選択性を示す新規触媒を見出した。また、本反応を鍵とした配糖体天然物合成を達成し、本反応が実用的な反応であることを示すことができた。この全合成においては、グルコースの熱力学的に不利なピラノース環の反転を伴う酸化的カップリングに検討を要したが、銅-アミン錯体を検討することで、カップリング反応が収率良く進行し、且つ軸不斉が完全に制御されることがわかった。申請段階で合成ターゲットとしていた配糖体天然物の全合成を達成しており、今後も想定した研究課題は達成可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、前年度までに確立した位置選択的官能基化を基盤として、多量体エラジタンニンの全合成に取り組む。前年度までに、多様な没食子酸ユニットを持つ単量体ユニットの合成が可能なことは既に確認している。まずは、連続位置選択的官能基化によって合成した単量体ユニット同士のカップリング反応を検討する。続いて、本反応を利用した二量体エラジタンニンglansrinの初の全合成に取り組む。没食子酸上の保護基によってはカップリング反応が進行しないことも想定されるため、多角的な検討を行う。二量体が全合成できれば、これまで合成報告例の無い、三量体エラジタンニンの合成に取り掛かる。
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Research Products
(8 results)