2018 Fiscal Year Annual Research Report
反応集積化に適した高活性反応プロモーターを用いるマイクロフローシステムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
18H04415
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
菅 誠治 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (50291430)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | フロー合成 / 電解反応 / 触媒反応 / マイクロリアクター |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請では、有機電子移動反応により発生させた高活性な均一系触媒やプロモーターを用いた高速反応をマイクロフロー系へ展開することにより、「高速で効率的な触媒型反応」の実現とこの集積化を研究課題として提案している。マイクロフロー系と電極反応を組み合わせることで、系中で創製した触媒量の超高活性な反応プロモーターとして利用することにより、効率的・理想的な触媒的反応を具現化し、反応集積化へ展開することを本研究の最大の目標として研究を推進した。本年度は、前年度までに作成した電解用マイクロリアクターを用いて二つの反応に焦点をあて研究を行った。 ①少量の電気量で開始されるシアノメチル化反応:前年度までに、アセトニトリル中、様々な芳香族アルデヒド誘導体を触媒量の電気量で電解還元することで、対応するシアノメチル化体が得られるという非常にシンプルな反応系を見出した。バッチ反応系では、一部脱水反応もあわせておこり、収率も中程度あったが、電解用マイクロリアクターを用いて、これをフロー系への展開したところ、高い選択性かつ高収率で対応するシアノメチル化体が得られることがわかった。 ②ごく少量の電気量で開始されるシアノシリル化反応:塩化メチレンにベンズアルデヒドとトリメチルシリルシアニドを溶解させ、バッチ型の電解セルを用いてごく少量の電気量で電解還元すると、対応するシアノシリル化体が得られた。この反応は電解用マイクロリアクターを用いたフロー系でも効率よく進行した。 上記二つの反応以外の新たな電解反応として、前年度までに、臭化アンモニウム塩の酸化により発生する“Br+”が活性な反応プロモーターとなる酸化的なチエノフラン骨格構築法も見出していたが、これまでは化学量論量の臭化アンモニウム塩が必要であった。電流量を含めた様々な検討を行った結果、臭化アンモニウム塩を触媒量に減らした高効率的な反応系を見出すことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成30 年度は低温電解酸化反応により発生させた有機ジカチオンをプロモーターとする反応に取り組む予定であったが、この反応系の検討は前年度までに概ね終了したため、アセトニトリル中、少量の電気量を通電することによって開始されるアルデヒドのシアノメチル化反応に焦点を当て研究を推進した。この反応は極めて単純で非常にクリーン、かつ、原子効率の高いシアノメチル化反応であり、反応の集積化の観点からも非常に有用であると考えられるが、電解用マイクロリアクターを用いることで、反応の効率が格段に向上することが明らかになった。この成果は反応集積化を指向する上で、極めて大きな発見であったと考えている。 また、当初平成31年度に予定していた“Br+”を反応プロモーターとして用いる反応の触媒化にも成功した。これも計画以上の成果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記反応のマイクロフロー系への展開により、連続フロー系ないしはワンポット系による連続的な官能基変換反応可能な新しい反応集積化法の開発を計画している。
|
Research Products
(34 results)