2018 Fiscal Year Annual Research Report
Integration of functional groups by electronically programmed reactions and its application to development of photodynamic drugs
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
18H04430
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
折田 明浩 岡山理科大学, 工学部, 教授 (30262033)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イナミン / アミノアセチレン / クリック反応 / ホスホリル / 保護基 / アセチレン / アミノトリアゾール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,アセチレン化合物に様々な電子的効果をもつ置換基を置換し,電子的摂動を与えることで化学選択的反応や位置選択的反応の実現を目指す.まず初めにホスホリル基を電子求引基に取り上げ,アセチレンに置換した後にアセチレンとアジドとのクリック反応を検討した.簡便な操作で調製可能なハロホスホリルエチンを出発原料に用い,アルコキシド塩基による脱ホスホリル化,続くクリック反応を行ったところ,4-ハロトリアゾールが得られた.一方,脱保護することなくハロホスホリルエチンを直接クリック反応に利用した場合には,5-ハロトリアゾールが得られた.ホスホリル基の立体的・電子的効果を巧みに利用することで,複素環を位置選択的に構築することに成功した.また,ハロホスホリルエチンのハロゲンをアミンで置換した後に,塩基による脱ホスホリル-クリック反応を行ったところ,4-アミノトリアゾールが得られた.本反応に含まれるイナミン(アミノアセチレン)は高活性なため通常は取り扱いが困難であるが,ホスホリル基の電子求引性を巧みに利用することで,高活性化学種のハンドリングを可能にした.こうした,脱保護-官能基変換反応を研究する過程で,新しい脱シリル-オリゴマー化反応に成功した.9,10位にシリルアセチレンを有するアントラセンを原料に用いて脱保護を行ったところ,得られた末端アセチレンは,すぐさま分解し,次の反応に利用することができないため,専門家の力を借りながら,活性な金属表面を用いて脱保護,続くホモカップリングによる連結反応を行った.高真空・極低温下で金属表面上にシリルエチニルアントラセンを蒸着し,続いてアニーリングしたところ,脱シリル化-オリゴマー化が進行した.生成物は,高分解能走査型顕微鏡で確認した.また,詳細な顕微鏡観察と量子化学計算から本反応が,これまでに知られていない分子内シリル転位を含むことを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,アセチレン化合物に様々な電子的効果をもつ置換基を導入し,電子的摂動を与えることで化学選択性や位置選択性の制御を実現する.反応系を単純化するために,両端炭素に電子的効果が異なる置換基をもつエチンを反応基質に取り上げた.具体的には電子供与基としてアミノ基を,求引基としてホスホリル基を有するアセチレンを用いたクリック反応を計画した.アミノホスホリルエチンは大きな電子的摂動の発生が期待できるだけでなく,ホスホリル基が高い極性をもつことから,クリック反応後の生成物を容易に単離精製できると考えた.アミノエチンの簡便な合成法として,末端アセチレンの臭素化/塩素化によるハロホスホリルエチンの合成,続く,ハロゲンの置換によるアミノ化から目的のアミノホスホリルエチン合成を検討した.様々な反応条件を検討したところ,銀触媒を用いたハロゲン化から臭素体が良好な収率で得られた.一方,同条件下では塩素体は得られなかった.続いて,アミンによる置換反応からアミノホスホリルエチンを合成した.本置換反応は無機塩基の存在下,速やかに進行し,様々なアミンで置換反応を行うことに成功した.前例のない新規化合物を合成するため,合成法の確立には長時間を要したが,こうして得られたアミノホスホリルエチンは空気中でも安定な化合物であった.得られたアミノホスホリルエチンを用いてクリック反応を検討したところ,反応の進行はやや遅いものの,アミノ基の立体電子的効果により高いレギオ選択性で環化生成物が得られた.一方,塩基による脱ホスホリル保護,続くクリック反応を実施したところ,アミノ基の立体電子的効果により予想通り,逆のレギオ選択性で環化生成物が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにアミノアセチレン等価体として利用可能なアミノホスホリルエチンの簡便合成法を確立した.初年度は,本化合物の合成法および複素環合成への端緒を掴んだ.今後は,様々なアミノ基もつアミノホスホリルエチン合成法の確立に着手し,応用範囲の拡大を検討する.アミノ基は医薬品など生理活性化合物に多く含まれることから,芳香族アミンだけでなく脂肪族アミンや複素環の導入など,多種多様な窒素求核剤を利用し,多彩なアミノアセチレン骨格を構築する.また,安価な試薬を利用することで,大量合成法を確立し,より実用的な反応試薬として利用できるように工夫する. 初年度は,アミノホスホリルエチンを出発原料に用いた脱ホスホリル,続く,クリック反応からアミノトリアゾールを合成した.これまでに正確な位置選択性が確定していないので,単結晶X線構造回折を用いてレギオ選択性を決定する.また,ブロモ基とホスホリル基を位置選択的に同時に導入することに成功したので,それぞれの置換基を手掛かりに様々な置換基や官能基を導入する手法を確立する.具体的には求核剤を用いた付加脱離反応による置換反応や遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応から新たな炭素―炭素結合生成反応を経由する官能基変換を検討する.こうして得られるアミノトリアゾールはその合成の困難さから,これまでにあまり研究が進んでいないが,いくつかの誘導体が生理活性を示すことが知られている.本研究では,生物化学の専門家と協力してアミノトリアゾールの生理活性ついても調査する予定である.
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Research Products
(18 results)