2018 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of a network for monitoring the effect of sporadic E on the air navigation system
Publicly Offered Research
Project Area | Solar-Terrestrial Environment Prediction as Science and Social Infrastructure |
Project/Area Number |
18H04437
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
細川 敬祐 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (80361830)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電離圏 / スポラディックE層 / 航空航法 |
Outline of Annual Research Achievements |
航空航法用電波(具体的には VOR,ILS/LOC に用いられている VHF 帯の電波)の異常伝搬事象を利用して,電波の中間反射点におけるスポラディック E 層(Es)発生の有無を検出する.研究期間中に,VOR, ILS/LOC 電波を受信するシステムを,4 地点に新規設置し,既存のものと合わせて計 6 地点に配備することで,1900 点以上の観測点から成る超多点観測網を構築する.また,受信信号から送信元の局を識別する手法を確立し,Es 発生領域の 2 次元マッピングを行う.超多点観測網による Es の広域イメージングを行うことで,Es の空間分布や形状を明らかにし,生成メカニズムや発生頻度の日々変動に関する理解を前進させる.また,データのリアルタイム転送・公開を行うことで,航空用航法電波に対する Es の影響を監視するシステムとして機能させ,航空局やエアライン,ICAO など,想定されるユーザへのリアルタイムの情報提供に繋げていくことを最終的な目標としている.
平成 30 年度は,アンテナ,フィルター,プリアンプ,ソフトウェア受信機からなる観測システムを 3 式製作し,長野県菅平,茨城県大洗,北海道サロベツに設置した.既存の観測点(調布,呉)では,アナログ信号をスペクトラムアナライザーを通すことによってチャネル別に信号を記録していたが,機器の製作にコストがかかることが問題であった.本課題では,スペクトラムアナライザーの代わりに,受信信号を比較的安価なソフトウェア受信機で処理し,周波数チャネルごとに信号を分割して受信・記録することを行い,Es の出現を検出することが可能になった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は本年度中に長野県菅平,茨城県大洗の 2 地点に受信システムを設置する予定であったが,ソフトウェア受信機の開発が当初の予定よりも早い段階で完了したため,北海道サロベツでの観測も開始することができた.また,5 箇所の観測地点で得られたデータを電気通信大学に準リアルタイム(1 時間遅れ)で転送し,ウェブ上に表示するシステムの基礎部分の構築も進めることができた.これにより,次年度は 1 地点に受信システムを設置して 6 箇所からなる広域モニタリングシステムを完成させ,スポラディック E に伴う異常伝搬をリアルタイムに可視化するサービスを開始することができると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,2019 年度の早い段階で,沖縄県恩納に新たに開発した受信システムを設置し,6 箇所(調布,呉,菅平,大洗,サロベツ,沖縄)からなる広域モニタリングシステムを構築する.スポラディック E が高い頻度で出現する夏季のデータを用いて,Es の広域構造のマッピングをすることに取り組む.複数の送信局に同一の周波数が割り当てられることがあるため,中間反射点における Es 発生の有無を地図上にマップするためには,各チャネルの受信信号に対応する送信局を特定する必要がある.各チャネルに対応する送信局のリストを作成し,アンテナの指向性や各送信局の運用形態,送信パワーなどの情報を用いて,受信信号から送信局を自動的に識別する手法を確立する.国内 6 地点の観測から異常伝搬事例を抽出し,送信元の局を特定することによって Es 発生領域を地図上にマッピングする.複数地点のデータを組み合わせたマップを 1 時間毎に作成し,Es 空間分布の時間発展を準リアルタイムで可視化するシステムを構築し,航空局やエアライン,ICAO など,想定されるユーザへのリアルタイムの情報提供に繋げていく.
Es の空間構造が,面的な広がりを持つのか,緯度・経度方向に細い構造を持つのかを明らかにする.観測された空間構造と,ウィンドシアによる Es の生成や Kelvin-Helmholtz 不安定性による構造形成の間の整合性を検証し,Es の生成過程を議論する.本課題によって可視化された「航空航法に影響を与える可能性のある強い Es」の空間分布と,GPS-TEC によって可視化された Es の分布を比較することによって,どのような性質をもつ Es が航空航法で用いられる VHF 帯の電波の長距離伝搬に寄与するのかを明らかにする.
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Research Products
(2 results)