2018 Fiscal Year Annual Research Report
含水微惑星の衝突年代から読み解く惑星への水の供給ダイナミクス
Publicly Offered Research
Project Area | Aqua planetology |
Project/Area Number |
18H04454
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
藤谷 渉 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 助教 (20755615)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 炭酸塩鉱物 / マンガン・クロム年代測定 / イオン注入 / コンドライト / 水質変成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は年代測定をする試料の準備を行った。 標準試料に関しては、地球産のカルサイト、ドロマイトを複数購入し、樹脂に埋めて研磨試料を作製した。その試料はEPMAを用いて微量元素、主要元素を定量し、均質性を確かめた。樹脂に埋めた標準試料は、高崎の応用量子研究所においてクロムとマンガンのイオンを注入した。イオン注入は200 kV程度の加速電圧にて行い、ドーズ量は深さ方向プロファイルのピーク濃度において0.1重量パーセント程度になるように設定した。同時に、クロムとマンガンの濃度が既知のガラス試料にも同イオンを注入した。このガラス試料は次年度のSIMS分析の際に、イオン注入したクロムとマンガンの存在量のキャリブレーションに用いる。 隕石試料に関しては、水質変成の影響が顕著なCRコンドライトとCMコンドライトを準備した。CRコンドライトはAsuka 881595という隕石で、サイズは小さいながらもカルサイト粒子が複数発見された。また、CMコンドライトは水質変成およびその後の熱変成を受けたJbilet Winselwanという隕石で、年代測定が十分可能なサイズのカルサイト粒子が複数発見された。熱変成の要因が天体衝突による加熱であるとすると、その年代は衝突の年代を記録しているのかもしれない。これら二つの隕石は、それぞれコンドルール内および周囲のフィロケイ酸塩の存在量と産状などから水質変成の程度を評価した。また、フィロケイ酸塩の化学組成を定量分析し、先行研究と比較して試料の均質性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に隕石試料、標準試料ともに準備ができた。作製した標準試料を用いて、次年度は隕石試料に含まれる炭酸塩鉱物の高精度マンガン・クロム年代測定に予定通り着手できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はSIMSを用いて隕石試料に含まれる炭酸塩鉱物のマンガン・クロム年代測定を行う。 まず、マンガンとクロムの濃度が既知のガラス試料を用いて、炭酸塩鉱物の標準試料にイオン注入したマンガンとクロムのSIMSにおける感度を評価する。また、深さ方向のマンガン・クロム濃度プロファイルを測定し、濃度プロファイルの理論モデルと一致するかを確認する。深さ方向の濃度プロファイルは、SIMSの分析痕の深さをレーザー顕微鏡によって測定し、深さのキャリブレーションを行って求める。 次に、未知試料である隕石中の炭酸塩鉱物のマンガン・クロム年代測定を行う。酸素の一次イオンを5ミクロン程度に絞って試料表面に照射し、叩き出されたマンガンおよびクロムの二次イオンを検出する。横軸にマンガンとクロムの比、縦軸にクロムの同位体比をとったアイソクロンダイアグラムにデータをプロットし、データ点の回帰直線の傾きから放射性マンガンの存在量および対応する年代値を求める。横軸のマンガンとクロムの比を求める際に、標準試料で決定したSIMSにおけるマンガンとクロムの感度を用いてキャリブレーションを行う。 最後に、得られた年代値を典型的なCMコンドライト中の炭酸塩鉱物の年代と比較する。今回測定するコンドライト中の炭酸塩鉱物の年代値が他天体の衝突年代を記録しているのか、それとも放射性核種の壊変熱に誘起された水質変成の年代なのか議論する。
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Research Products
(4 results)