2018 Fiscal Year Annual Research Report
高速ナノセンシングによる液晶の位相欠陥ネットワーク組換えダイナミクスとレオロジー
Publicly Offered Research
Project Area | Discrete Geometric Analysis for Materials Design |
Project/Area Number |
18H04469
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤井 修治 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (40401781)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コレステリック・ブルー相 / 欠陥 / レオロジー / 量子ドット |
Outline of Annual Research Achievements |
秩序的な欠陥配置を有するコレステリック・ブルー相Iと、無秩序な欠陥配置を有するブルー相IIIの二種類を対象に、レオロジー計測、動的光散乱計測(SAnDLS)、蛍光相関分光計測(FCS)を実施した。蛍光相関分光計測では、量子ドット(粒径6nm)を液晶中に分散させ、十分撹拌した後計測を実施した。従来のブルー相の欠陥経は10nm程度と考えられている。したがって粒径6nmの量子ドットを選定すれば、量子ドットが欠陥内に収まると考えられる。量子ドットを分散したブルー相IとIIIについて、以下の実験を実施した。 コレステリック・ブルー相I SAnDLSでは液晶分子自身の緩和を、FCSにより量子ドットの運動を解析した。その結果、ブルー相の格子定数が量子ドット濃度に依存し大きくなること、そして量子ドットの周囲が等方相と同じ粘度であることがわかった。これらは、量子ドットが欠陥に収まっていること、そして、欠陥部分に侵入した量子ドットがブルー相の格子構造を壊すことを示唆している。このことは、適度な量子ドット濃度においてその空間分布を詳細に調べれば、欠陥ネットワークの空間構造を解析できる可能性があることを示しており、今後の展開に繋がる成果が得られたと言える。 コレステリック・ブルー相III ブルー相IIIの緩和時間は非常に遅く数十秒から百秒にまで及ぶため、SAnDLSでは緩和挙動を精密に評価することが困難であった。レオロジー測定を独立に行った結果、新たにブルー相III/コレステリック相転移点近傍でシアシックニング挙動が観察されることが明らかになった。大振幅振動下でのレオロジー挙動を調べ、弾性応力と粘性応力をそれぞれ解析し、粘性応力に同じくシアシックニング挙動が現れることも確認した。これは相転移点近傍において新たな構造の出現を示唆し、こちらも次の展開に繋がる新たな成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
量子ドットの粒径が欠陥内に十分に収まるように小さなものを選定したが、分散がうまくいかずに蛍光相関分光法の測定が順調に進まなかった。このために遅れが生じた。新たに量子ドットを選定し直し、再度分散評価から始めるため、研究計画がやや遅れている。しかし、画像相関分光測定自体は計測・解析法を確立しているため、実施することに問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
画像相関分光法・蛍光相関分光法により、静止場とせん断変形場下においてコレステリック・ブルー相IとIIIのマイクロレオロジー計測を実施する。 これまで、我々は主にブルー相の転傾にのみ着目してきたが、ダイナミクスを正当に評価するには、粒界のダイナミクスも抽出する必要がある。そこで、量子ドット分散系とは別に、蛍光色素分散系を用意し、粒界のみのダイナミクスを画像相関分光測定によって調べる。蛍光色素は異なる分子量、発光波長のものを複数用意した。液晶と最適な蛍光色素の組み合わせを見出し、実験を遂行する。次に、改めて量子ドット分散系を用意し、蛍光相関分光計測を実施する。これら2つの実験結果を総合的に組み合わせることにより。静止場における転傾と粒界のダイナミクスへの寄与を明らかにし、振動せん断場下における同様の計測から、欠陥ネットワーク構造の変化を解析する。
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Research Products
(8 results)