2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of microscopic inhomogeneity governing macroscopic physics
Publicly Offered Research
Project Area | Discrete Geometric Analysis for Materials Design |
Project/Area Number |
18H04492
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
森 道康 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (30396519)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フォノンホール効果 / 中性子 / 高温超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中性子やX線などの量子ビームを用いた実験で得られるデータを基に、微視的不均一性と巨視的物性との相関を解き明かすことを目的としている。その一例として、希土類ガーネットの非弾性中性子散乱実験を行った。熱の流れに対して垂直に磁場を与えたとき、この両者に直交する方向に温度差が生じる現象が熱ホール効果である。中でも熱流がフォノンによって運ばれる場合は、「フォノンホール効果」と呼ばれ、テルビウム(Tb)を含んだ絶縁体(Tb3Ga5O12, TbGG)で観測されている。フォノンは電荷もスピンも持たないため、磁場下でフォノンによる横熱伝導が生じる現象は謎であった。本代表者は、Tb の結晶場励起によるフォノンの共鳴散乱がその起源である機構を提唱した。この理論を実証すべく、磁場下のフォノン及び結晶場励起スペクトルの測定を行った。フォノンの励起スペクトルに加え、磁場に依存して変化する結晶場励起のスペクトルを、低エネルギー領域に見つけることができた。この結晶場励起こそが、フォノンホール効果の起源になっているものだと考えられる。単位胞内に 6 個のTbに加え、過剰なTbも含まれるため、現状の限られた精度のデータを用いて結合定数などの評価まで行うには、統計学的推定法を活用する必要があり、直近の課題である。この他、銅酸化物高温超伝導体の磁気励起スペクトルの計算を行い、正孔ドープと電子ドープの違いを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統計学的推定法を活用した解析については今後早急に進める必要があるが、当初の計画通り、重要な実験データが得られたことから、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
領域内の連携を活用して、初年度に得られた実験データに対して、統計学的推定法を活用した解析を早急に進める。
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Research Products
(5 results)