2018 Fiscal Year Annual Research Report
Real-time observations of structural change dynamics in molecular assemblies composing soft crystals
Publicly Offered Research
Project Area | Soft Crystals: Science and Photofunctions of Easy-Responsive Systems with Felxibility and Higher-Ordering |
Project/Area Number |
18H04509
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
岩村 宗高 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 講師 (60372942)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 核波束運動 / 金属原子間相互作用 / 円偏光発光 / 顕微分光 / 超高速時間分解分光 / 構造変形 / 発光プローブ / キラルセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 会合体の時間分解分光1:ジシアノ金(I)錯体の会合体の水溶液に、テトラエチルアンモニウム塩化物を共存塩として加えると、溶液中の会合度が劇的に増大し、長波長の光吸収・発光を示す。多種の会合体が共存するこの水溶液に対して、超高速時間分解分光計測を行った。核波束運動の振動解析から、励起直後に3量体、4量体、5量体が生成することが分かった。また、数ナノ秒の時定数で拡散過程から、6-7量体の会合種が生成することが分かった。 ジシアノ金とカチオン性ポリマーが共存したときに、0.1M以下の薄い濃度でも、490nmに発光を示す大きな会合体が安定的に形成し、かつ40%以上の高い発光収率を示す条件を見出した。この系について、時間分解発光・核波束運動を計測したところ、基底状態で5量体以上の大きな会合体が生成し、かつ小さな会合体がほとんどできないことが分かった。 2. 希土類錯体の円偏光分光2:フェナンソロリン誘導体ユウロピウム錯体は、アキラルな錯体なので円偏光異方性を示さないが、アルギニンなどのキラルなアミノ酸と共存すると、円偏光発光を示す。L体とD体のアミノ酸を混在する水溶液においてこの円偏光の強度依存性を調べることで、ユウロピウム錯体がアロステリック効果によりアキラルからキラルな構造へ変型していることが明らかとなった。 円偏光発光分光装置と、顕微分光装置を組み合わせた顕微円偏光発光分光装置を作成した。寒天中にアルギニンのD体とL体を不均一に分散させ、均一に分散させたフェナンソロリン誘導体ユウロピウム錯体の誘起円偏光発光を顕微分光によって検出したところ、おおよそアルギニンのD体とL体の分布を反映したCPL信号マップを計測することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きな会合体の核波束運動による会合種の同定は、金、白金の錯体についてはおおむね可能であることが見出せた。 ユウロピウム錯体のアミノ酸による誘起円偏光発光のメカニズムは、アロステリック機構で進むことを明確に示すことができた。ゲル試料中のキラル分子であれば、誘起円偏光発光分光により識別が可能であることを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
白金テトラシアノ錯体の会合体について、核波束運動の観測を試みる。また、関連する白金錯体のべイポクロミズム、メカノクロミズム的挙動を検討する。より大きな会合体を形成するピリジン系配位子を持つ白金錯体の会合体について、超高速時間分解分光を試みる。 ユウロピウム錯体と、キラル分子の会合体形成過程についてのメカニズムを明らかにするため、時間分解円偏光発光分光装置を作成する。
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Research Products
(9 results)