2018 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質夾雑空間解析を可能とする光触媒ー近接標識法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Approaches for Miscellaneous / Crowding Live Systems |
Project/Area Number |
18H04542
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 浩之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (30274434)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光有機触媒 / ケミカルラベリング / 空間制御 / ラジカル / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、タンパク質ケミカルラベリングに重要な修飾剤を最適化することで、非特異的な修飾反応を抑え、標的タンパク質を高選択的・高効率で修飾することができるMAUra を新たなラベル化剤として見出した(Chem. Commun. 54, 5871, 2018)。アミノ酸のチロシン誘導体との光反応やCV 測定から、MAUra はチロシン残基との反応効率が、通常ラベル化剤として用いられているtyramide の5 倍向上しており、MAUra から生じる活性種が不安定であるためRu 光触媒から離れた距離に位置するタンパク質への非特異的な反応が抑えられたことが示唆された。そこで、このMAUra を用いて、タンパク質混在系中のリガンド結合力の弱いタンパク質の検出を行なった。年度の途中に、細胞内触媒固定化技術開発に使用していたラベル化剤の合成装置に不測の故障が生じたため、当装置の修理・調整が必要となり、細胞内触媒固定化技術開発の再開までに3ヶ月間を要したが、ラベル化剤の合成は完了した。MAUra をラベル化剤としてRu 光触媒固定化アフィニティービーズ上に修飾させたラクトースに結合した、極めて結合力の弱いレクチン(解離定数Kd = 770 μM)の検出することに成功した。また、申請者が最近見出した、細胞膜透過性とタンパク質ラベル化の触媒能に優れたフラビン系の有機光触媒を活用し、対象のモデルとして低酸素誘導因子HIF-1αを選択し、そのタンパク質のN 末にその機能への影響が少ない低分子構造の捕捉タグを遺伝子工学的に導入することを、検討した。しかし、HaloTagーHIF-1αタンパク質を生細胞内に一過的に発現させることにはまだ成功していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年11月、細胞内触媒固定化技術開発に使用していたラベル化剤の合成装置に不測の故障が生じたため、当装置の修理・調整が必要となり、細胞内触媒固定化技術開発の再開までに3ヶ月間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
リガンドに結合する複数の標的タンパク質を網羅的に修飾する方法を開発する。本手法を用いて糖鎖リガンドやキナーゼ阻害剤に結合する複数のタンパク質を修飾、二次元電気泳動による解析を行い、タンパク質ータンパク質相互作用に関する複数の標的タンパク質を一挙にラベル化させることを検討する。また、引き続き、HaloTagーHIF-1αタンパク質を生細胞内に一過的に発現させることを種々の細胞をもちいて検討する。
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Research Products
(12 results)