2018 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内オルガネラ膜の分子認識化学の開拓と展開
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Approaches for Miscellaneous / Crowding Live Systems |
Project/Area Number |
18H04546
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
築地 真也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40359659)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞内オルガネラ / 生体膜 / 脂質 / 分子認識化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脂質夾雑集合体であるオルガネラ膜に焦点を当て、細胞内の特定のオルガネラ膜を認識して結合する合成分子(オルガネラ膜の分子認識化学)を創製することを目的とする。これにより、細胞内の「膜」ならびに「膜が関与する生命現象」を細胞夾雑下でin situ解析・制御するための革新的な基盤ツールを創出する。本年度は、下記の成果を達成した。 1)細胞膜インナーリーフレットに特異的に結合する合成モチーフの開発。K-Ras4Bは細胞膜の内側であるインナーリーフレット(以下、細胞膜内膜)に局在しているタンパク質である。今回このK-Ras4Bが有する局在化モチーフを手本とし、さまざまな構造展開を行うことで、細胞膜を透過して細胞膜内膜に自発的に結合する非天然型脂質化ペプチドモチーフを見出すことに成功した。さらに、そのモチーフを利用して、細胞内に発現させたタンパク質を細胞膜内膜に特異的に局在移行させる技術を開発した。 2)ゴルジ体に特異的に結合する合成モチーフの開発。我々はこれまでに、細胞内でパルミトイル化修飾を受けることでゴルジ体と細胞膜内膜の両方に分布する合成分子を見出している。今回その構造にさまざまな化学修飾を導入することで、ゴルジ体に対する特異性が大きく向上した新規合成モチーフを2種類見出すことに成功した。さらに、そのモチーフを応用することで、細胞夾雑系においてタンパク質と薬剤の相互作用を可視化する技術を開発した。 3)エンドメンブレン(ERとゴルジ体)に結合する合成モチーフの開発。さまざまな脂質ライブラリーをスクリーニングすることで、エンドメンブレンに効率良く結合する脂質修飾合成分子を見出すことに成功した。さらに、そのモチーフを利用して、細胞内に発現させたタンパク質をエンドメンブレン上に局在移行させる技術を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、本年度は、細胞膜内膜、ゴルジ体、エンドメンブレンという細胞の中でも主要なオルガネラ膜に対する合成モチーフを見出すことに成功した。特筆すべきは、これらのモチーフはどれも新規であり、それぞれのオルガネラの「膜(脂質夾雑集合体)」に対して特異的に結合している点である。本年度の成果は、オルガネラ膜の分子認識化学の発展に資する極めて重要な基盤ツールを提供するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度得られたオルガネラ膜結合分子を活用し、オルガネラ膜上で進行する生命現象の人工操作技術や新規オルガネラ膜イメージングプローブの開発に取り組む。また、合理的設計とライブラリースクリーニングのアプローチを展開することで、さらなるオルガネラ膜結合分子の開拓を進める。
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Research Products
(8 results)