2019 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト生細胞の分子夾雑環境における核酸の構造と相互作用の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Approaches for Miscellaneous / Crowding Live Systems |
Project/Area Number |
18H04550
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片平 正人 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (70211844)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インセルNMR / 4重鎖 / 分子夾雑 / テロメア / 安定性 / 核酸構造 / 交換速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内の込み入った環境下においては、タンパク質や核酸の構造、ダイナミクス及び相互作用は、試験管内の希薄環境下とは異なる事が予想されている。細胞内に導入したタンパク質や核酸のNMRスペクトルを直接観測するin-cell NMR法は、この事を検証する上で有力な手法である。我々は毒素タンパク質SLOによって細胞膜に孔を開けて核酸を導入する手法を高度化する事で、ヒト生細胞中の核酸のin-cell NMRスペクトルを観測する事に世界で初めて成功した。本研究ではこの成果を活用した。in vitroの希薄溶液下では主鎖の向きが3+1型の4重鎖構造を形成するが、in vitroでPEGを加えた擬似的な分子夾雑下ではコンパクトな平行型の4重鎖構造を形成するテロメア配列のDNAに関し、ヒト細胞中におけるイミノプロトンスペクトルを観測・解析した。細胞中のスペクトルは、in vitroにおけるPEG無し及びPEG有りのいずれのスペクトルとも違いがあった。これより細胞中の当該核酸の構造は、希薄溶液下の構造とは異なると共に、PEGによる擬似的な分子夾雑下の構造とも異なる事が強く示唆された。また、核酸とタンパク質(及びその部分ペプチド)の相互作用を生細胞中で検出する事にも取り組んだ。スペクトルの強度が現時点では十分ではなく、細胞に導入する核酸・タンパク質複合体の調製法及び細胞への導入法のさらなる最適化が必要である事が分かった。さらに核酸構造の安定性を、塩基対中のイミノプロトンの水との交換速度を測定・解析する事で、希薄溶液下、PEGを加えた擬似的な分子夾雑下及び実際の生細胞条件下で比較した。その結果、生細胞中の核酸構造の安定性は、PEGを加えた擬似的な分子夾雑環境における安定性とは異なるケースがある事が分かった。以上の結果は、生細胞環境下における情報を直接取得する事の重要性を示している。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)