2018 Fiscal Year Annual Research Report
ガン細胞内での合成脂質の自己組織化制御と細胞死の制御
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Approaches for Miscellaneous / Crowding Live Systems |
Project/Area Number |
18H04556
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丸山 達生 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (30346811)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自己組織化 / 抗ガン活性 / ペプチド脂質 / ガン細胞選択的殺傷 / 細胞内環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ガン細胞に応答するように分子デザインしたペプチド脂質がガン細胞に選択的に取り込まれ、ガン細胞特有の環境(亢進酵素・pH等)により自己組織化し、ガン細胞選択的に細胞毒性を発揮することを目指している。これまで我々は、ガン細胞外に分泌される酵素に応答するペプチド脂質を開発してきた。このペプチド脂質はガン細胞分泌酵素により低分子ゲル化剤に変換され、これがガン細胞に取り込まれて、細胞内で自己組織化し、細胞毒性を示していた。そこで本研究では、ガン細胞内pHが正常細胞内pHよりも低いことを利用して、ガン細胞内pHに応答してゲル化するペプチド脂質を開発した。疎水鎖をいくつか検討した結果、炭素数16のパルミチン酸が良好な結果を与え、またペプチド部分にはグルタミン酸を複数配置したペプチド脂質が良好なpH応答性を示した。しかもpH 7.4とpH 7.0のわずかな違いでゲル化をコントロールすることに成功した。このpHの違いに応じて、水溶液中でのペプチド脂質の自己組織化挙動も大きく変化しており、pH応答性ペプチド脂質の開発に成功した。この微小pH応答性ペプチド脂質の細胞毒性を評価したところ、細胞内pHに応じて細胞毒性が大きく変化した。正常細胞ではあまり毒性を示さず、細胞内pHが低い一部のガン細胞に対して強い毒性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微小pHの変化に応答してゲル化するペプチド脂質の開発に成功し、ガン細胞選択的に抗ガン活性を示すペプチド脂質を発見できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ガン殺傷メカニズムを調べ、また2次元培養細胞だけでなく、3次元の腫瘍組織や実際の担ガンマウスに対する抗ガン効果を検討する。
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Research Products
(8 results)