2018 Fiscal Year Annual Research Report
天然変性蛋白質αシヌクレインの細胞内夾雑系における凝集解析とその制御
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Approaches for Miscellaneous / Crowding Live Systems |
Project/Area Number |
18H04557
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
河田 康志 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (40177697)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | αシヌクレイン / 夾雑系におけるアミロイド線維凝集 / 細胞内凝集の可視化 / 凝集抑制 / 分子シャペロン |
Outline of Annual Research Achievements |
1:夾雑系の主要成分としてのαシヌクレイン等のin vitro凝集特性評価 DNAやRNAなどの核酸やヘパリン,コンドロイチン硫酸などの生体因子が共存する夾雑系において,αシヌクレインやタウ蛋白質のアミロイド線維凝集形成特性をプレートリーダーや設備備品として購入した蛍光光度分析計を利用して調べた。その結果,様々な条件下で,アミロイド線維形成の促進,抑制などが観測された。共存する因子の電荷や性質によって効果は様々であることが明らかになった。特に,興味深い結果としてはDNAの共存であった。すなわち,2重鎖DNAと熱変性させた1本鎖DNAとではαシヌクレインに対するアミロイド線維形成に対する効果が異なっていることが示唆された。さらにその詳細については引き続き研究する予定である。
2:細胞内でのαシヌクレインの凝集の可視化 Neuro2A細胞へのαシヌクレイン蛋白質の大量発現とGFP融合系による可視化方法を確立し,酸化ストレスをかけることで,細胞内にαシヌクレイン蛋白質の凝集化を起こさせることに成功した。この凝集化による細胞の生存活性を全学共通機器であるセルソーターを活用して調べることに成功し,凝集化が細胞にもたらす効果を検証できた。また,この凝集形成抑制をヒト由来Hsp60やケミカルシャペロンを用いて調べた結果,かなりの効果が期待できることを予備的に確かめることができた。今後も引き続きこの抑制効果について検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な生体因子存在下での夾雑系におけるαシヌクレイン蛋白質やタウ蛋白質のin vitroのアミロイド線維形成については予定どおり実験結果が出せた。 また,細胞内でのαシヌクレインの凝集化の可視化についてはGFPを融合させることで成功し,その凝集形成を起こさせる酸化ストレス条件も設定することができた。さらにその系を利用した細胞活性評価や凝集抑制効果についても結果が出せつつあることから,概ね順調に研究は進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き,細胞内外での蛋白質の凝集化とその抑制について,さらに詳細に実験を通じて調べていく予定である。 in vitroのアミロイド線維形成実験研究では,DNAの効果について興味深い結果が得られているので,これをさらに追求し,そのメカニズムについて明らかにする。細胞内での凝集実験については,可視化手法を活用しながら,分子シャペロンによる凝集抑制効果を検証することに注力する。
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