2018 Fiscal Year Annual Research Report
包括的ニュートリノ原子核反応の記述
Publicly Offered Research
Project Area | Gravitational wave physics and astronomy: Genesis |
Project/Area Number |
18H04569
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
堀内 渉 北海道大学, 理学研究院, 講師 (00612186)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 宇宙核反応 / 原子核行列要素 / 原子核第一原理計算 / 原子核密度汎関数理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近の超新星爆発シミュレーションの発展により、ニュートリノ原子核反応は重力崩壊型超新星爆発過程において重要な役割をなすことが明らかになってきた。基本的なインプットであるニュートリノ原子核反応率の信頼のおける評価が望まれているが、反応率は非常に小さいため実験的評価は特定の原子核やエネルギーに限られてしまい、超新星爆発過程に寄与する全ての反応を評価するには理論計算に頼らざるを得ない。本研究計画は包括的ニュートリノ反応を効率よく記述する新たな定式を確立し、軽い原子核から重い原子核を含んだ広いエネルギー領域での反応率を評価ものである。陽子・中性子の自由度から出発した一貫した精密原子核理論により未知のニュートリノ原子核反応率を決定し、超新星爆発機構の解明を目指す。 本年度は共同研究者との議論を通じ、研究遂行に必要となるレプトン原子核反応行列要素の定式化を行うとともに、少数核子系精密理論と原子核密度汎関数理論による定式及び計算コードの開発を行った。密度汎関数理論による方法の妥当性を確認するために、禁止遷移も含めたベータ崩壊率の計算を行い、その成果は論文として投稿中である。同時に核子―原子核散乱核行列要素を計算する枠組みの開発・応用を行い、それらの結果は査読付き論文としてまとめられた。また、連携研究者がニュートリノ相互作用(ニュートリノ原子核反応、non-standard neutrino interaction、超新星と元素合成)に関するニュートリノ相互作用、原子核構造、反応の理論・実験研究者を交えた研究会「ニュートリノ原子核反応とニュートリノ相互作用」をKEK東海一号館で開催し、研究代表者も講演を行った。http://j-parc-th.kek.jp/workshops/2019/02-22/
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニュートリノ原子核反応に関する理論では、これまでのニュートリノ反応理論において取り入れられていなかったクーロン歪曲波を考慮した定式化が成され、少数精密理論および密度汎関数理論を用いた計算コードへの実装への議論が進んでいる。密度汎関数理論に基づく系統的な計算から、弱相互作用による宇宙元素合成に重要となるニッケル78近傍核のベータ崩壊半減期における禁止遷移や原子核構造に関しての議論が行われた。また、レプトン原子核散乱に限らず、核子原子核散乱の核行列要素を評価する枠組みの開発・応用に関する研究業績が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はまず新たな理論手法の妥当性を検証するため、電子原子核散乱断面積の評価を行う。その後広いエネルギー、運動量移行、質量数領域において系統的なニュートリノ原子核反応率の評価を行う。その結果は超新星爆発シミュレーション等他分野で使いやすい形にして公開することを考えている。
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