2018 Fiscal Year Annual Research Report
Systematic searches for soft-gamma-ray remnants of gravitational-wave astronomical objects in our Galaxy
Publicly Offered Research
Project Area | Gravitational wave physics and astronomy: Genesis |
Project/Area Number |
18H04571
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
寺田 幸功 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (90373331)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 重力波天体 / 中性子星合体 / 重元素合成 / 核ガンマ線観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、太陽系近傍の中性子星合体イベントの発生頻度を定量化すべく、中性子星合体の現場で合成される核子のうち、長寿命核からの核ガンマ線輝線に着目し、中性子星合体残骸の痕跡を探査することである。 中性子星合体の現場で r-process により合成される不安定元素を対象とするため、エネルギー帯域はメガ電子ボルト帯域が主となる。本研究初年度の平成30年度には、メガ電子ボルトの軟ガンマ線帯域に感度を持つ天体観測衛星INTGRALを用いたガンマ線エネルギースペクトル解析と撮像解析を行う準備をすすめた。INTGRAL衛星は稼働後 15年以上もの観測データが蓄積されており、そのデータ量は 15テラバイト近くになる。欧州ESAや米国NASAにあるデータセンターからのインターネット回線速度は想定よりもずっと遅く、全データの転送に一年近くかかることが判明したため、急遽、国外の共同研究者に依頼し、データセンターにハードディスクを郵送し物理的にデータを送付してもらうことでINTGRAL衛星によるガンマ線観測データを全て入手した。またそれらの観測データを用いたINTEGRAL衛星の分光撮像解析は、単一観測の標準的な解析手法を習得し、搭載機器2種に関するエネルギースペクトルと天体画像を作成することが出来るようになった。ゆえに計画通り、銀河面の撮像分光探査を開始した。 初年度である平成30年度は、ガンマ線天体観測を実施する準備段階であるため、主な成果はないが、重力波天体に関する国内研究会と国際研究会をそれぞれ1件(計2件)と、重元素合成に関する国内研究会で1件、研究のコンセプトを講演する機会があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度にあたる平成30年度は、長寿命核からの核ガンマ線輝線に着目したガンマ線観測衛星による撮像分光探査の準備を進める予定であった。準備として、INTEGRAL衛星の公開データの入手、2種類の搭載機器の撮像観測、分光観測の解析手法の習得、が行えたため、研究成果の公表には至らないが、おおむね計画通りに研究が進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は INTEGRAL 衛星での核ガンマ線観測データ全てを入手し、単一観測の標準解析の手法は習得したため、今年度はいよいよ244Pu 等の長寿命核からの核ガンマ線輝線の探査を開始する。ただし、観測データが膨大で、一度に解析できるデータ量も限られるため、効率的に探査するために、高速なデータ蓄積装置を購入し、探査をすすめる。また、銀河面のマップがかけた時点で、海外協力者の元に渡航し、INETEGRAL衛星の解析手法を詰めたい。最終的には、銀河系内のマップを作成し、残骸が無いかを探査、無い場合は、輝線強度の上限値から連星中性子星合体の生成率に制限をつける。
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