2018 Fiscal Year Annual Research Report
ガンマ線トリガー検出器のフライトモデルの開発と全方位突発天体監視
Publicly Offered Research
Project Area | Gravitational wave physics and astronomy: Genesis |
Project/Area Number |
18H04580
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
米徳 大輔 金沢大学, 数物科学系, 教授 (40345608)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 重力波 / ガンマ線 / ガンマ線バースト / 検出器開発 / 超小型衛星 |
Outline of Annual Research Achievements |
重力波を発する天体からの突発的なガンマ線放射を観測するためのガンマ線トリガー検出器を開発している。金沢大学で独自に開発している超小型衛星に搭載するほか、キューブサット級の衛星に搭載することも念頭に入れた開発を行い、将来的に複数台で観測できるような体制の基盤技術を確立することを目的としている。 本研究で開発している検出器は、CsIシンチレータとMPPC光半導体検出器を組み合わせた構造で、センサーからの電荷信号をマイコンに搭載されているA/D変換器で受け、8ミリ秒の時間分解能で計測しつづけるシステムである。当初の予定では、有効面積を50cm2程度とする予定であったが、金沢大学衛星の重量リソースが残っていることから、100cm2に拡張した設計へと変更した。既にフライト回路基板および検出器筐体の設計は完了している。計画当初はフライトハードウェアを完成させる予定であったが、設計の変更に伴いスケジュールを3ヶ月程度遅らせ、次年度の前半に完成させることとした。 検出器の回路で用いている部品、マイコン、高圧電源等は全て民生部品を利用しているが、独自にガンマ線照射試験や粒子線照射試験を実施し、放射線耐性の高い部品を選出することに成功している。概ね30 krad程度の放射線耐性を有することから、長期間の運用にも耐えられる設計となっている。 ソフトウェア部に関しても、ガンマ線の計測と衛星バス系との通信インターフェースの骨格は完成しており、次年度の衛星バス系との接続試験でデバッグを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先に示したとおり、有効面積を増大するために年度の途中で設計を変更したことから、3ヶ月程度の遅れが生じている。しかしながら、CsIシンチレータとMPPC光検出器を用いた放射線計測回路とマイコンを搭載した回路設計と、これらを格納する筐体設計もは既に完了しているため、開発の遅延は最小限に留められる予定である。 放射線耐性の高い回路部品、高圧電源、およびマイコンを選定することができたことから、今後の開発は順調に行えると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の前半に、ガンマ線トリガー検出器のフライトハードウェアを完成させる。衛星バス系のコンピュータとの間のデータ・コマンド通信試験を実施し、基本的なソフト開発を完了させる。 年度の後半には単体の熱真空試験・振動試験を実施し、フライトモデルを完成させるまでを目標とする。 金沢大学衛星の打ち上げは、H-IIAロケットの相乗り公募の機会が得られていないことから未定であるが、本研究期間内に検出器のフライトモデルは確実に完成できるだろう。
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Research Products
(11 results)