2018 Fiscal Year Annual Research Report
中性子星冷却期と後期ニュートリノ放出
Publicly Offered Research
Project Area | Gravitational wave physics and astronomy: Genesis |
Project/Area Number |
18H04586
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
諏訪 雄大 京都産業大学, 理学部, 准教授 (40610811)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 中性子星 / 超新星爆発 |
Outline of Annual Research Achievements |
超新星爆発の瞬間には多種多様な信号が発生するため、超新星はマルチメッセンジャー観測の絶好のターゲットである。銀河系内で起これば、ニュートリノと重力波を駆使して爆発機構に迫ることが可能となるだろう。しかし、爆発直後(およそ 1 秒以内)は様々な流体不安定性に代表される物理過程が複雑に絡まり合っており、定量的な予言を行なうことが非常に困難である。そこで、本公募研究では爆発開始後 1 秒以降のニュートリノ放射に着目し、定量性の高い理論モデルを構築することを目標とする。また、実際に超新星が起こったときに実験データ解析に活用できる解析手法を開発する。初年度は、主に以下の 3 つの研究に進展があった。 1. 原始中性子星冷却計算により 100 秒を超えるニュートリノ光度発展の数値モデルを構築した。数値モデルから Super-Kamiokande での擬似観測データを作成し、新しい解析手法を開発した。この手法を用いると、原始中性子星の質量をニュートリノ単独で決定できる可能性があることを示した。 2. 超新星爆発計算で重要なニュートリノ輸送方程式の定式化をやり直し、従来は考慮されていなかった原始中性子星内部の乱流によるニュートリノスペクトルの変化を定量的に与える基礎方程式を導出した。 3. 原始中性子星からのニュートリノ放射の解析的モデル化を進め、数値計算結果と整合的なニュートリノ光度およびスペクトルの時間発展を記述する解析的な表式を導出した。 これらの結果を現在論文としてまとめている。順次公開し、さらなる研究へとつなげる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は特に将来のニュートリノ観測を見越したデータ解析手法の確立の部分が進んだ。論文化も着実に進んでおり、次年度に公開予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
データ解析の基礎的な枠組みを作ることができたので、今後は理論モデルの精緻化およびパラメータ空間の拡大を行う。具体的には、原始中性子星冷却計算では無視していた流体効果を適宜取り込むことや、解析的モデルの精密化である。
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