2018 Fiscal Year Annual Research Report
重力波で探る重力セクターでのパリティーの破れとアクシオンダークマター
Publicly Offered Research
Project Area | Gravitational wave physics and astronomy: Genesis |
Project/Area Number |
18H04589
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
早田 次郎 神戸大学, 理学研究科, 教授 (00222076)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 重力波 / アクシオン / パラメータ共鳴 / チャーン・サイモン重力 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙には、暗黒物質(DM)と呼ばれる見えない物質が存在し、その正体を解明することは宇宙論の大問題となっている。DMの候補として最近、軽い質量を持ったアクシオンDMの研究が重要となってきた。アクシオンDMの大きな特徴はアクシオン場のコヒーレントな振動にある。一方、重力波の直接観測が成功したことにより、重力波を用いたアインシュタイン重力を超える理論の探求は大きな課題となっている。ここではアクシオンとの結合が重要となるチャーン・サイモンズ重力理論に着目する。本研究の目的は、チャーン・サイモンズ重力理論におけるブラックホール連星等からの重力波の伝搬がアクシオン振動との相互作用によってどのような影響を受けるのかを研究し、時空のパリティーを破れとアクシオンDMの証拠を明らかにすることである。 1.アクシオンDM環境における重力波伝搬を解析し、結合定数の大きさについて太陽系観測で得られる制限より6桁ほど強い制限が得られることを発見した。アクシオンと重力波の共鳴によって円偏光重力波へと変換されることを明らかにした。また、アクシオンとの結合によって重力波が光速からずれることを明らかにした。 2. アクシオンによるパラメータ共鳴や光速からのずれなどの現象が電磁波においても生じることを明らかにした。 3. 放射優勢期において、アクシオン振動による重力波生成が起き、その信号がLISAなどの宇宙重力波干渉計で観測され得ることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であるアクシオン暗黒物質を背景として伝搬する重力波の解析を遂行するとともに、アクシオンが放射優勢期にアクシオン振動によるパラメータ共鳴が有効的に働き、LISAやDECIGOで観測可能な重力波を生成することを明らかにした。これは新たな重力波源の発見であり、当初の予定にはなかった成果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進んでおり、宇宙論的なスケールでの重力波伝搬へ解析を拡張すること。および、現実のデータを用いて、どのような結論が得られるかを明らかにすることを目指したい。
|
Research Products
(18 results)