2018 Fiscal Year Annual Research Report
A systematic study of equations of state for hot and dense nuclear matter in compact astrophysical phenomena
Publicly Offered Research
Project Area | Gravitational wave physics and astronomy: Genesis |
Project/Area Number |
18H04598
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
富樫 甫 九州大学, 理学研究院, 学術研究員 (70733939)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高密度核物質 / 状態方程式 / 超新星爆発 / 中性子星 / 対称エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、核物質状態方程式(EOS)を特徴付ける飽和密度経験値(飽和密度・飽和エネルギー・非圧縮率・対称エネルギーとその密度勾配)の不定性が、中性子星や重力崩壊型超新星爆発などの高密度天体現象に与える影響を定量的に評価することで、その不定性を絞り込むことを目的とする。 2018年度の研究では、上記5つの飽和密度経験値で陽に表される現象論的な一様核物質のエネルギー表式を用いて、まずは飽和密度経験値の異なる9種類の一様核物質EOSの数値テーブルを作成した。この際、それぞれのEOSにおける飽和密度経験値のパラメターセットは、孤立した原子核に対するThomas-Fermi計算が実験値を大局的によく再現するように決定した先行研究の値を使用した。次に、作成した9通りの一様核物質EOSの数値テーブルを用いて、それぞれと自己無矛盾な非一様核物質EOSをThomas-Fermi近似によって構築した。得られたEOSを比較し、有限温度非一様相に現れる原子核の質量数や組成について、飽和密度経験値が与える影響を系統的に調べたところ、対称エネルギーの密度勾配が小さくなるにつれて、中性子過剰な非一様相に現れる原子核の質量数や陽子数は大きくなることがわかった。さらに、対称エネルギーの密度勾配が小さい場合には、より大きな原子核が高密度側まで残ることも示唆された。 2018年度の研究を通して、広範囲の密度及び陽子混在度について、典型的な温度における9通りの核物質EOSの数値テーブルを完成させた。特に、従来の超新星爆発計算用核物質EOSと比較して、より低密度領域までカバーしたEOSテーブルを構築し、データのグリッドも10倍ほど細かくすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従来の超新星爆発計算用EOSテーブルに比べて、より広い密度領域をカバーした数値テーブルを細かいグリッド数で用意しているために、数値計算に予想以上の時間がかかってしまい、当初計画していた温度領域の半分程度までしか、核物質の熱力学量を計算できていない。加えて、非一様相と一様相の境界近傍では、一部の熱力学量の陽子混在度依存性に不連続な振る舞いが見られたため、数値計算精度を向上してこれらの不連続性を取り除くための時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、2018年度に引き続き、非一様相に対するThomas-Fermi計算を行うことで、複数の超新星爆発計算用核物質EOSのテーブル完成を目指す。しかしながら、上述の通り、当初の研究計画よりも遅れが生じているため、まずは対称エネルギーの密度勾配が大きく異なる3種類のパラメターセットについてのみデータテーブルを完成させ、実際の超新星爆発シミュレーションに適用することを目指す。その後、残りのパラメターセットに対するEOSテーブルも完備させ、当初予定していた全てのEOSテーブルをweb上で公開することを予定している。
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