2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanisms of mouse mother-pup communication
Publicly Offered Research
Project Area | Frontier research of chemical communications |
Project/Area Number |
18H04610
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣田 順二 東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 准教授 (60405339)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 化学感覚 / 嗅覚 / 嗅覚受容体 / 化学コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「母子間の化学コミュニケーションの分子基盤」を明らかにすることを目的とし、マウス羊水中に含まれる嗅覚受容体の天然物リガンドを同定し、受容体との対応づけをおこなう。さらにこれらの匂い物質が、生物学的・生理学的にどのような機能をもつのか解析をおこなう。これまでに、羊水中に嗅神経細胞によって感知される匂い物質が存在することを明らかにし、嗅神経細胞軸索の投射先である嗅球の糸球体の発火パターンの解析結果から、羊水中の匂い成分をリガンドとする嗅覚受容体の数は、約30種類前後と推定している。現在までに、6種類の嗅覚受容体を同定した。 課題1および2では、引き続き羊水中の成分に応答する嗅覚受容体のクローニングをおこなうとともに、これまでに同定した嗅覚受容体を培養細胞再構成系に発現し、カルシウムイメージングによって羊水中の応答成分を単離、同定を目指した。しかしカルシウムイメージングのS/N比が悪く、嗅覚受容体が認識する羊水成分の同定には至っていない。一方、羊水成分の分析を領域内共同研究として開始し、羊水中の脂肪酸に着目したGC-MS解析をおこなった。その結果、C9からC26の直鎖脂肪酸が検出された。この中には先行研究において抗不安効果があるとされている成分も含まれていた。そこでマウスに対して抗不安行動があるかどうかを行動学的に検証し、有意にマウスの不安行動緩和効果があることを明らかにした。今後、羊水成分解析と個々の成分に応答する嗅覚受容体のクローニング実験を検討する。 その他のプロジェクトとして、領域内共同研究を含む脊椎動物間で例外的に高度に保存された新規フェロモン受容体候補分子に同定に成功し、マウスおよびネッタイツメガエルでの発現解析に貢献した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1は順調に推移しており、また羊水の成分分析を領域内共同研究として開始するなど、新規の実験についても推進している。ただし、課題2において、これまで同定した羊水応答性の嗅覚受容体(課題1)を培養細胞再構成系に発現し、羊水成分への応答を指標に当該嗅覚受容体が認識する羊水成分の単離、同定を目指しているが、カルシウムイメージングのS/N比が悪く、分画した羊水成分への応答性の解析には遅れがでている。
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Strategy for Future Research Activity |
課題2でS/N比の改善が見込まれない場合、ルシフェラーゼアッセイ等、他のアッセイ方法を検討する必要がある。一方、羊水成分分析とマウス行動実験から、羊水中にマウスに対して抗不安効果を示す成分があることを示すことができている。今後、受容体の同定など、リガンドからの解析も進める予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] A single pheromone receptor gene conserved across 400 million years of vertebrate evolution2018
Author(s)
Hikoyu Suzuki, Hidefumi Nishida, Hiro Kondo, Ryota Yoda, Tetsuo Iwata, Kanako Nakayama, Takayuki Enomoto, Jiaqi Wu, Keiko Moriya-Ito, Masao Miyazaki, Yoshihiro Wakabayashi, Takushi Kishida, Masataka Okabe, Yutaka Suzuki, Takehiko Ito, Junji Hirota, Masato Nikaido
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Journal Title
Molecular Biology and Evolution
Volume: 35(12)
Pages: 2928-2939
DOI
Peer Reviewed
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