2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of chemical tools for understanding and modulating mucosal immunity
Publicly Offered Research
Project Area | Frontier research of chemical communications |
Project/Area Number |
18H04615
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井貫 晋輔 京都大学, 薬学研究科, 助教 (70736272)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 天然物 / 腸管免疫 / 粘膜免疫 / 化学コミュニケーション / 医薬品探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、有機合成化学を基盤としたケミカルバイオロジー研究からのアプローチにより腸管免疫における化学コミュニケーションの理解と制御を目指したケミカルツールの創製を目的とする。本年度は、腸管免疫において重要な役割を担うスフィンゴシン1リン酸産生経路の鍵酵素であるスフィンゴシンキナーゼ(SphK)やセリンパルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)を制御する化合物の創製に注力した。 これまで所属研究室で行われてきたSphK阻害剤jaspine Bの構造活性相関研究を基に、報告者がこれまでに開発してきた高活性脂質リガンド取得のためのコンセプト「疎水性領域における親水性アミノ酸残基に着目した活性増強法」を用いた化合物デザインと合成を行った。特に、SphKの脂質結合ポケットの深い位置に存在する限定された範囲の親水性領域との水素結合形成を意図したリガンドを設計した。様々な構造展開を行った結果、jaspine B誘導体の長鎖アルキル鎖部分にエーテル基を導入した化合物が、SphKのアイソフォームの一つであるSphK2に対する選択的阻害活性を示すことを見出した。 SPTの制御に関わる化合物については、既知阻害剤であるスフィンゴシン類縁体ミリオシンに着目し、光反応を鍵とした新規合成法の確立を行った。本合成経路は、ミリオシンの不斉四置換炭素を効率的に構築することが可能であるとともに、様々な立体異性体の合成や、脂質部位の誘導化についても容易に展開可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スフィンゴシンキナーゼ(SphK)やセリンパルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)の阻害剤の開発は順調に進んでいる。特に、SphK阻害剤に関しては、炎症性疾患や、自己免疫疾患に関わるとされるSphK2に対する選択的阻害剤が得られた。また、SPT阻害剤に関しても、阻害剤開発の基盤となる天然物ミリオシンの効率的な合成供給ルートを確立することができた。本合成経路は、様々な誘導体の合成にも応用可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、前年度に引き続きSphK、SPT阻害剤の開発を継続する。SPT阻害剤については、前年度に確立した合成経路を用いて、種々のミリオシン誘導体の合成を行う。特に天然物の立体異性体や、脂質部位に様々な官能基を導入した誘導体の合成を検討する。 また、腸管組織において多く存在する自然リンパ球MAIT細胞の活性化因子であるMR1リガンドの探索を行う。特にMR1リガンドの候補とされる腸内細菌代謝物であるビタミンB2誘導体(5-OP-RU)の構造を基盤とした構造展開を行い、MAIT細胞の免疫における機能の解明のための基盤となるケミカルツールの取得を目指す。
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Research Products
(7 results)