2018 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical communication and cryptic natural products in actinomycetes
Publicly Offered Research
Project Area | Frontier research of chemical communications |
Project/Area Number |
18H04618
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木谷 茂 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 准教授 (10379117)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放線菌 / 化学コミュニケーション / 二次代謝シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
放線菌は、多種多様な生理活性物質を二次代謝産物として生産する微生物である。放線菌の二次代謝クラスターの多くは休眠状態にあり、この休眠クラスターを覚醒できれば、生理活性物質の効率的な探索技術となりうる。研究代表者は、放線菌二次代謝を誘導するシグナル物質に関する研究を展開してきたところ、化学シグナルを介した双方向型シグナルトーク系に結びつく結果を得た。本研究では、産業微生物として重要な放線菌において、その化学シグナル系の多様性を解明し、休眠天然物を生産覚醒させる有用物質探索技術を確立することを主たる目的とする。 本年度は、まず、二次代謝シグナル産生菌との共培養が、各種放線菌における休眠天然物生産を覚醒させるかを検討した。二次代謝シグナル産生菌と各種放線菌を固体培地にて非接触状態下にて共培養させたところ、1種の海綿共生放線菌を用いた場合、共培養依存的に代謝物が変動する現象を見出した。次に、この代謝物変動が二次代謝シグナルに依存しているかを検討するため、遺伝子組換え法にて作製したシグナル非生産菌と共培養させたところ、共培養依存的な代謝変動はシグナル生産と関連しないことが明らかとなった。したがって、新たな化学シグナルトーク系の存在が示唆された。 一方、抗寄生虫薬イベルメクチンが放線菌の休眠二次代謝を覚醒させる報告があることから、イベルメクチンもしくはイベルメクチン類縁体であるエバーメクチンを各種放線菌の培養液に添加した。その結果、Streptomyces albus J1074株の培養液に、イベルメクチンを添加した場合、ポリエン系物質と推定される化合物の生産が増加することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな化学シグナルトーク系の発見へと繋がる可能性がある放線菌共培養系の組み合わせを見出したこと、またイベルメクチン添加が研究代表者の放線菌種の休眠二次代謝を覚醒させたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
共培養依存的に生産誘導される化合物の構造を同定すると同時に、生産誘導に関わる因子について解析し、新たな化学シグナルトーク系を解明する。イベルメクチン添加にて誘導される化合物の構造を同定する。二次代謝シグナル産生菌との共培養実験とイベルメクチン/エバーメクチン添加実験に供する放線菌種の数を増加させ、さらなる化学シグナルトーク系を見出す。
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