2018 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical communication determining reproduction strategy
Publicly Offered Research
Project Area | Frontier research of chemical communications |
Project/Area Number |
18H04619
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡辺 肇 大阪大学, 工学研究科, 教授 (80212322)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミジンコ / 単為生殖 / 有性生殖 / 化学コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ミジンコが生殖戦略を変更するのに必要な化学コミュニケーション分子の探索と機能解析を行なう多細胞生物間での化学コミュニケーションは情報が非常に限られており、新規の特性を有している可能性がある。 そこで本研究では、オスを作らせる条件下でミジンコを飼育しその飼育水から化学コミュニケーション分子を探索しその機能解析を行なう。 ミジンコは申請者が長年飼育している系統のクローンを用いることにより高い再現性を担保する。また飼育水は完全な合成飼育水を用い、不必要な化学物質の混入を極力避ける。オスの産生がおきる密度でミジンコを飼育し、飼育水から一連のカラムを用いて化学コミュニケーション活性を有する画分を精製し、MS/MS でその構造を決定する予定である。化学コミュニケーション活性については、ミジンコに曝露を行い、オス産生能をバイオアッセイによって調べる。 現在までに、ミジンコを3日間高密度で飼育した際の飼育水を解析したところ、この飼育水中にミジンコのオス化を誘導する因子が含まれていることが示唆されてきた。すなわち、高密度で培養した飼育水を通常の低密度状態で飼育したミジンコに曝露することにより、オスを産むことが明らかになった。通常は高密度で長期間飼育することによって得られていたオスの産生が、わずか3日で可能になったことから、今後の解析が革新的に早くなることが期待できる。 精製した化学コミュニケーション分子については、近縁のミジンコへの影響の有無を確認し、その分子の特異性を調べる。また化学コミュニケーション分子の構造や合成されるタイミングから合成に関与する経路を明らかにする。この化学コミュニケーション分子をミジンコに曝露した際の応答から、受容の経路についても明らかにし、ミジンコにおける化学コミュニケーション分子の由来と機能を解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、ミジンコを3日間高密度で飼育した際の飼育水を解析したところ、この飼育水中にミジンコのオス化を誘導する因子が含まれていることが示唆されてきた。すなわち、高密度で培養した飼育水を通常の低密度状態で飼育したミジンコに曝露することにより、オスを産むことが明らかになった。通常は高密度で長期間飼育することによって得られていたオスの産生が、わずか3日で可能になったことから、今後の解析が革新的に早くなることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに確立した条件で飼育水を調整し、標的物質の精製を行う。精製した化学コミュニケーション分子については、近縁のミジンコへの影響の有無を確認し、その分子の特異性を調べる。また化学コミュニケーション分子の構造や合成されるタイミングから合成に関与する経路を明らかにする。この化学コミュニケーション分子をミジンコに曝露した際の応答から、受容の経路についても明らかにし、ミジンコにおける化学コミュニケーション分子の由来と機能を解明する。
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Research Products
(28 results)