2018 Fiscal Year Annual Research Report
植物チロシンキナーゼを標的とするゲニステインのアレロパシー効果の分子機序の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Frontier research of chemical communications |
Project/Area Number |
18H04634
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Research Institution | Iwate Biotechnology Research Center |
Principal Investigator |
根本 圭一郎 公益財団法人岩手生物工学研究センター, 園芸資源研究部, 主任研究員 (60566727)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | チロシンキナーゼ / ユビキチン化 / 植物ホルモン / ジベレリン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでに、ダイズなどのマメ科植物が生産する二次代謝産物イソフラボン・ゲニステイン(GNS)によって活性が著しく阻害される植物特異的なチロシンリン酸化プロテインキナーゼ・TAGKを見出している。さらに、植物ホルモン・ジベレリンの受容体GID1が新規因子GARUによってユビキチン化依存的に分解誘導されること、一方でTAGK2がその分解誘導を抑制することによって、GAシグナルの恒常性が制御されていることを明らかにした。この結果は、マメ科植物ダイズが生産するGNSが他植物種のTAGK2を標的とするGAシグナル抑制因子として機能している可能性を示唆するものである。そこで、その仮説を検証するめに、まず、我々はモデル植物シロイヌナズナにおけるGNS依存的な生育抑制および発芽抑制が、TAGK2およびGARU遺伝子機能と関係しているのかを調査した。その結果、野生型の発芽および根伸長は低濃度のGNSによって優位に抑制されたが、一方で、TAGK2高発現体およびgaru遺伝子欠損体においてはGNSによる抑制効果がほとんど認められなかった。さらに、ダイズ種子または実生から分泌される画分を野生型シロイヌナズナ種子に投与すると、GNS生産能の高いダイズ品種由来の画分において極めて強い発芽抑制作用が認められたが、garu遺伝子欠損体は耐性を示した。さらに、ダイズ由来画分処理は、GNS処理と同様に種子内GID1タンパク質のプロテアソーム系による分解を誘導することが明らかになった。これらの結果から、ダイズ由来のGNSによる生育・発芽抑制効果はTAKG2およびGARU機能依存的であり、GAシグナルを抑制する機能性分子として働いている可能性が強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した実験計画を順当に進めているが、ダイズ栽培の経験がなかったためにサンプル調整に時間がかかった。そのため、当初計画していた環境ストレスなどと併用したGNS効果をあまり検討できていないが、一時データは得ることができた。現在は、農業研究センターなどから栽培技術ノウハウを聞いており、栽培の問題は解決している。本年度は、研究スピードが速まることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、前年度計画していた環境ストレス下におけるGNSによる生育・発芽抑制効果を検討していく。前年度の予備的な結果から、すでに、実験条件などは決定しているので早急に遂行できる。また、ダイズ由来分泌物と環境ストレスとの併用実験も計画している。さらに、アサガオGARU遺伝子については人工遺伝子合成を行なっており、in vitro 系による遺伝子機能解析、細胞実験による機能解析の準備は整っている。
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Research Products
(12 results)