2018 Fiscal Year Annual Research Report
コバルト触媒/有機触媒ハイブリッドによるC-H活性化を起点とする不斉触媒反応
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
18H04637
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉野 達彦 北海道大学, 薬学研究院, 講師 (50756179)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ロジウム / コバルト / 不斉触媒 / C-H活性化 / キラルカルボン酸 / キラルスルホン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
Cp*Rh(III)触媒およびキラルジスルホン酸イオンを用いる反応系について検討をおこなった。モデル反応である2-フェニルピリジン類と不飽和ケトンとの反応について、反応条件の最適化と基質一般性の検討をおこない、多くの基質について高いエナンチオ選択性で付加反応が進行することを示した。さらに6-アリールプリンと不飽和ケトンと反応について検討をおこなったところ、上記で最適であったビナフチルジスルホン酸(BINSA)ではなく、新たに開発したスピロ型ジスルホン酸(SPISA)を用いた場合により高いエナンチオ選択性が発現することを見出した。また反応機構に関する実験もおこない、プロトン化の段階でエナンチオ選択性が発現している可能性が高いことがわかった。 従来計画にはなかったが、上記のハイブリッド触媒を用いると、分子内のオキシアミノ化反応においてエナンチオ選択性が発現することを発見したため、さらなる検討をおこなったところ、ジスルホン酸の置換基をチューニングすることでエナンチオ選択性および反応性に大きな影響を与えることがわかり、高いエナンチオ選択性を発現する触媒を見出すことができた。添加剤等の効果についても重要な知見が得られており、こちらの反応についても引き続き検討をおこなっていく予定である。 コバルト触媒を用いた反応系では、キラルジスルホン酸を用いた場合は反応性が低く、いまだ良好な結果が得られていないが、キラルカルボン酸を用いたハイブリッド触媒系を用いることで、不斉付加反応および不斉C-H活性化反応において良好な選択性が得られることがわかった。コバルト触媒に関しては、キラルCpとの組み合わせも含めて検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロジウム/キラルスルホン酸系について良好な結果が得られたほか、予想外の反応系も見出すことができた。コバルト触媒についてはやや検討が遅れているが、キラルカルボン酸の方が有効であることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きキラルスルホン酸やカルボン酸とのハイブリッド触媒系を探索していく。従来想定していた不斉多成分反応について良好な結果が得られなかったため、やや計画を変更し、キラルホウ素触媒によるカルボン酸活性化とのハイブリッド化や、触媒的配向基を利用した反応系、水素結合触媒などとのハイブリッド化など、より広範な有機触媒との組み合わせを検討する予定である。
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Research Products
(17 results)