2018 Fiscal Year Annual Research Report
Rapid synthesis of chiral molecules via organocatalyst mediated domino reaction
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
18H04641
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 雄二郎 東北大学, 理学研究科, 教授 (00198863)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ドミノ反応 / 有機触媒 / マイケル反応 / 不斉触媒反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドミノ反応は同一容器内で複数の反応を順次行うために、中間体を単離する必要がなく、反応間における精製工程を省略するので、操作時間の短縮、廃溶媒の低減といった利点を有する、環境調和型の反応である。申請者は既に、多くのドミノ反応を開発し、ドミノ反応を用いたプロスタグランジンA1およびE1メチルエステルのthree-pot合成、インフルエンザ治療薬タミフルのone -pot合成を達成した。有機触媒はドミノ反応に適した触媒である事に注目し、本研究では有機触媒を用いた不斉触媒反応を基盤とする、有用なドミノ反応を開発し、重要な光学活性合成中間体を、環調和型手法で効率的に合成する事を目的として、検討を行う。具体的にはケトンを求核剤とし、α,β-不飽和アルデヒドを求電子剤とするマイケル反応は、δケトアルデヒドを合成する優れた反応であるが、その直接的不斉マイケル反応の成功例はない。今回、ケトンを2級アミンでエナミンに変換し、α,β-不飽和アルデヒドに我々の開発したdipenylprolinol silyl etherを作用させることでイミニウム塩とし、不斉触媒マイケル反応が実現できないかと考え検討を行った。本反応においては、ケトンと反応する 2級アミンはα,β-不飽和アルデヒドとも反応し、高い不斉収率の実現は困難と考えられたが、実際に実験を行うと、2級アミンとして不斉炭素を有しないピロリジンを用いた場合にも、91%eeという高い不斉収率で目的物が得られた。反応条件の最適化の結果、4―ヒドロキシプロリンを2級アミンとして用いたときに、高いシン選択性でまた高い不斉収率でマイケル付加体が得られることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケトンを求核剤とし、α,β-不飽和アルデヒドを求電子剤とするマイケル反応は困難な反応と考えていたが、シクロヘキサノンとシンナムアルデヒドとのマイケル反応において、4―ヒドロキシプロリンとdipenylprolinol silyl etherという2つの触媒を併せ用いることにより、高いシン選択性でまた高い不斉収率で進行するマイケル付加反応を見出すことができた。さらに本反応が広い一般性を有することも明らかにすることができた。従い、当初の予期していた目的反応が実現でき、概ね計画通りに研究が進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度実現したマイケル反応において、2つの触媒の役割を明らかにする。光学活性な2級アミンを用いて、ケトンから得られるエナミンのエナンチオ面の反応性の制御ができないかと考え、すでに検討を行ったが、現在のところ成功していない。これは、予期したエナミンを経由していない可能性があり、反応機構に関する検討を行い、この点を明らかにする。反応機構が明らかになることにより、反応の展開が容易になると考える。 2つの触媒を併せ持ちいることにより、マイケル反応が進行したので、この原理を他のケトン求核剤との反応に適用して、反応の拡張を目指す。例えば、シクロヘキサノンに変え、シクロへキセノンを用いα,β-不飽和アルデヒドと反応させれば、最初のマイケル反応に引き続き、連続して分子内マイケル反応が進行する可能性があり、このようなドミノ反応が進行すれば2環性化合物が一挙に得られることになる。最初のマイケル反応が高い不斉収率で進行することが期待できるので、生成物が光学活性体として得られることになる。このほかにも求核剤を変更することにより、種々の化合物が光学活性体として得られる可能性があり、種々の求核剤に関して検討を行う。
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Research Products
(2 results)