2018 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド型タンデム触媒反応の開発を基盤とした高次構造アルカロイドの迅速合成
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
18H04642
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
植田 浩史 東北大学, 薬学研究科, 講師 (50581279)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | タンデム触媒 / アルカロイド / 全合成 / 金触媒 / 銅触媒 / グアニジン化合物 / 二重官能基化 / アジリジン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の医薬リード化合物の枯渇問題を受け、特異かつ複雑な骨格を有する生物活性天然物に注目が集まっている。しかし、高度に官能基化された天然物の合成は、現代の精密有機化学をもってしても容易ではなく、満足のいく量的供給や構造活性相関研究を視野に入れた誘導体合成は困難であるのが現状である。このような背景のもと、本研究課題では、分子合成オンデマンドを実現するタンデム触媒の反応の開発と、確立した新たな方法論を基盤とする高次構造アルカロイドの迅速合成法の確立を目指し、研究に取り組んでいる。 1)オートタンデム触媒反応を基軸とする多環性グアニジン化合物の迅速合成において、本年度は以下の成果を得た。申請者らのグループは、これまでにカチオン性金触媒によるオートタンデム触媒機構を経るピロロピリミジン骨格の合成法を開発した。本方法論を基軸とし、グアニジンを有する多環性アルカロイド、デヒドロバツェラジンCの不斉全合成を達成した。さらに本天然物群には、三環性主骨格の酸化段階や側鎖が異なる類縁化合物が数多く存在する。そこで、確立した合成経路を基盤とし、他の類縁体合成に取り組み、バツェラジンEの主骨格の形成に成功した。 2)遷移金属触媒の動的制御に基づいたアシスト型タンデム触媒反応の開発とその応用において、本年度は以下の成果を得た。銅触媒の価数の動的制御に基づくアシスト型タンデム触媒反応の開発に取り組み、スチレン誘導体のアジリジン環形成と求核的アジリジン環開裂との連続反応を経るオレフィンの二重官能基化反応を確立した。本手法では、銅触媒の価数により二つの異なる触媒反応を制御しており、銅触媒の酸化剤として(NH4)2S2O8が有効であることがわかった。本手法は、アルコールや炭素求核剤、ヘテロ原子求核剤といった様々な求核剤が適用可能であり、共通の基質から多様な結合様式を有するアミンの迅速合成法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カチオン性の金錯体を用いたドミノ型反応による二環性のピロロピリミジン骨格の迅速構築法を基軸とし、グアニジンを有する多環性アルカロイド、デヒドロバツェラジンC の不斉合成の合成経路を確立した。さらに、確立した合成経路の多様性合成への有用性を立証すべく、側鎖の異なるバツェラジンE の合成研究に取り組んだ。その結果、側鎖導入とグアニジンを含むバツェラジンEの3環性主骨格の形成に成功した。さらに、銅触媒の価数の動的制御に基づくアシスト型タンデム触媒反応を確立し、スチレン誘導体からβ位に様々な結合様式を有するアミン合成に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
1) オートタンデム触媒反応を基軸とする多環性グアニジン化合物の迅速合成において、本年度デヒドロバツェラジンCの不斉全合成を確立した。確立した本合成法は、三環性主骨格の構築にアセタールを有するウレアとアルキン、アシル化剤の三成分を用いたモジュラー合成である。本年度は、確立した合成法の特徴を生かし、鍵工程に用いるアルキンやその後のアシル化剤を適宜変更することで、バツェラジンCやクランベシディンなどの類縁化合物の網羅的合成を達成する。さらに、2) 遷移金属触媒の動的制御に基づいたアシスト型タンデム触媒反応の開発とその応用において、本年度確立した銅触媒の価数の動的制御に基づくアシスト型タンデム触媒反応によるアルケンの二官能基化を応用し、シャルテリンをはじめとする高次構造アルカロイドの合成研究を展開する予定である。
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