2018 Fiscal Year Annual Research Report
On-demand Synthesis of Alkenes Using Reactive Metal-Metal Bonded Species
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
18H04645
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村橋 哲郎 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40314380)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アルケン / 立体制御 / 金属-金属結合 / 反応機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルケンは、天然物や有機工業製品に広く含まれる重要な官能基であり、そのE/Z幾何異性を制御することは長年の有機合成化学における課題となっている。アルケンの幾何異性体は、通常、E体が熱力学的に安定であり、ひとたびE体アルケンが生じた場合、これをZ体に高収率で変換する手法には大きな制約があり、熱反応条件(暗所下)でE→Z異性化を高選択的に実現する手法の開発が強く求められている。本研究では、M-M結合活性種を用いた新しいアルケン異性化機構を提案・実証し、熱反応条件でのアルケンの選択的E→Z異性化反応を開発することを目指して研究をおこなっている。 2018年度までに、高反応性錯体[Pd2(CH3CN)6][BF4]2を用いて、二核付加・立体反転・トランスオレフィネーションのそれぞれの段階が立体選択的に進行することを見出した。これらの選択的二核素反応に基づき、1,3-ジエンを選択的にE体からZ体へ熱異性化させることに初めて成功し、Z-ジエンを短時間かつ高選択的にオンデマンド合成する手法を開発した。さらに、up-hill型反応であるこのE→Z異性化を他の有機反応と反応共役させることが可能であることも実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
M-M結合活性種を用いた新しいアルケン異性化機構を提案・実証し、熱反応条件でのアルケンの選択的E→Z異性化反応を開発することを目指して研究をおこない、目標とするオレフィンのup-hill型E→Z異性化を熱条件で達成することに成功した。特に、Z体を速度論的に選択的に発生させてこれを捕捉する手法を新たに開発した。よって、本研究は当初の計画以上に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに得られている二核錯体誘起オレフィン異性化機構に関する知見に基づき適用できるオレフィン基質の拡大を狙う。また、二核反応機構をさらに発展させるべく、anti型の二核脱離によるZ体の速度論的捕捉を試みる。さらに、順調に研究が進展していることから、新たな反応活性種として期待されるPd(I)単核ラジカル種の単離同定にもとりかかる予定である。
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