2018 Fiscal Year Annual Research Report
Selective Domino Propagation in Radical Copolymerization for Precision Polymer Synthesis
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
18H04647
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上垣外 正己 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00273475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ラジカル重合 / 共重合 / ドミノ反応 / 水素結合 / ハイブリッド触媒 / モノマー配列 / リビング重合 / ラジカル付加 |
Outline of Annual Research Achievements |
合成高分子における、分子量、立体構造、モノマー配列などの多重構造制御は、高分子化学における究極の課題である。このためには、重合過程において重合の活性を担う触媒中心のみならず、相互作用を巧みに用いて反応を制御し、重奏的に或いは独立でも、各制御を並列して担うハイブリッドな触媒系の開発が重要と考えられる。本研究ではとくに、ラジカル共重合における選択的なドミノ型反応の開発によりモノマー配列を制御し、リビングラジカル重合触媒と組み合わせることで、高度に制御されたポリマーの合成を目的としている。 本年度は、反応性のビニル基を有し嵩高い構造を有するバレンセンに対して、アクリル系モノマーとの共重合を、水素結合性溶媒としてフルオロアルコールを用いて行った。とくにマレイミド誘導体との共重合において、1:1と1:2の共重合が同時に進行し、両方の連鎖からなる共重合体が生成することがわかった。さらに、RAFT重合と組み合わせることで、分子量とモノマー連鎖の同時制御を達成した。 また、反応性の高いエキソメチレン型のビニル基を有し、三員環と五員環から成るサビネンについて、アクリル系モノマーとのラジカル共重合の検討を行った結果、フルオロアルコール中で、アクリル酸エステルやアクリロニトリル1:2の選択的なラジカル共重合が進行することがわかった。この重合機構として、三員環の開環や渡環などを経由するドミノ型の生長反応の可能性が示唆された。 他の植物由来モノマーとして、スチレンとアクリル酸エステルと両方の骨格をもつ桂皮酸エステルに関して、他のビニルモノマーとの共重合を行った結果、桂皮酸エステルはスチレン型のラジカルで選択的な生長反応が進行することがわかった。さらに、遷移金属錯体を用いたリビングラジカル重合などにより分子量の同時制御を可能とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、主に、水素結合や配位結合などの弱い相互作用を、天然由来の特有な骨格を有するテルペン類から誘導される非極性オレフィンモノマーと、アクリル類の極性ビニルモノマーとのラジカル共重合に用いることで、特異なモノマー配列を有する選択的なドミノ型の連鎖重合反応を開発することを目的としている。今年度は、予定としていたバレンセンやサビネンなどの共重合を検討し、選択的な共重合反応が進行することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果も踏まえながら、まず、サビネンとアクリル酸エステルやアクリロニトリルとの1:2の選択的なドミノ型生長反応を、生成ポリマーの構造解析やモデル反応の解析により明らかとする。また、他の植物由来モノマーとして、同様に反応性の高いエキソメチレン基と縮環構造を有するβ-カリオフィレンや、イソソルバイドから誘導される双環ジエン化合物の重合も検討する。さらに、これらの特異的な共重合反応に、チオカルボニル化合物や光レドックス触媒をハイブリッド的に用いることでリビングラジカル共重合を達成し、モノマー配列と分子量の同時制御へと展開する。
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Research Products
(23 results)