2018 Fiscal Year Annual Research Report
不活性結合活性化反応のハイブリッド化
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
18H04649
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鳶巣 守 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60403143)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機光レドックス触媒 / 有機カチオン / 脱炭酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれはこれまで、炭素-水素結合や炭素-メトキシ結合といった通常有機合成では利用されてこなかった不活性な化学結合の変換反応の開発研究を行ってきた。そこで、鍵となる結合切断を担うのは遷移金属錯体触媒であった。本研究では、これまでに得られた錯体触媒に関するわれわれの独自知見を、他の分子活性化手法と融合することで、錯体触媒単独では達成できなかった変換反応の実現を目指す。 本年度は光レドックス触媒と遷移金属触媒反応との融合を目指し、独自の光レドックス触媒の設計と合成、評価を実施した。カルボン酸を炭素源とした脱炭酸型クロスカップリングは、有機金属試薬やハロゲン化物に依存しない結合形成反応として、近年活発に研究されている。これまでに、遷移金属触媒のみを用いる反応および、ニッケル触媒反応と光レドックス触媒を組み合わせる反応がそれぞれ報告されている。しかし、前者ではカルボン酸基質が活性化された芳香族カルボン酸に限定されること、後者ではカップリングパートナーがハロゲン化アリール誘導体に限定されるなどの課題があった。後者の系では、光レドックス触媒がカルボン酸を、ニッケル触媒がカップリングパートナーであるハロゲン化物をそれぞれ活性化する。後者の系において、より広範なニッケル触媒と共存可能な光レドックス触媒を開発することができれば、適用可能なカップリングパートナーを拡大可能であると考えた。この観点から、ビスイミダゾリウム塩を合成し、その光レドックス触媒としての能力を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遷移金属触媒反応とのハイブリッド化を目指し、独自の光レッドクス触媒であるビスイミダゾリウム塩を合成することができた。予想通り、従来の錯体系の光レドックス触媒より高い励起酸化力を有することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
独自の光レドックス触媒と遷移金属触媒とのハイブリッド化による反応開発を進める。また、光レドックス触媒のさらなる構造最適化により励起状態の長寿命化を目指す。
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