2018 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体を微生物の細胞表面に固定化した高選択的バイオハイブリッド触媒系の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
18H04651
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小野田 晃 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (60366424)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バイオハイブリッド触媒 / 金属錯体 / タンパク質 / 指向性進化法 / CーH結合活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会から要請される複雑な物質群を高効率かつ選択的に変換する触媒系を開拓することは、最重要課題の一つである。金属錯体触媒に、生物がもつ多様な分子環境を融合すれば、未踏の選択性を達成すると期待される。本研究は、多彩な反応性をもつ金属錯体触媒と、精緻かつ多様な反応場を提供するバレル型タンパク質を融合したバイオハイブリッド触媒を構築し、従来にはない位置選択性・官能基選択性・基質選択性を付与した触媒系を開拓することが目的である。さらに、バイオハイブリッド触媒部位を細胞表面提示した人工微生物触媒を作製し、金属錯体の反応場と網羅的かつ高速に探索可能な実験室進化の手法と組み合わせ、タンパク質反応場を最適化し、困難な反応選択性を示す触媒を開拓する。本年度は、反応性の高いシクロペンタジエニルロジウム錯体を固定化したバイオハイブリッド触媒を活用し、非対称内部アルキンを基質とする位置選択的なイソキノリン合成を実施した。また、ロジウム近傍にカルボキシル基を変異導入により配置することによって、触媒活性が向上することも見出しており、タンパク質反応場のチューニングの有効性も実証した。このような探索を迅速化するために、バイオハイブリッド部分を表面提示したホールセル触媒系の構築に取り組んだ。細胞表面との連結を円滑にするために、ロジウム錯体の配位子の最適化を検討して、種々のチオール系配位子を試した結果、ジチオリン酸配位子で空配位座を保護したロジウム錯体では、タンパク質ホストと連結後に金属塩添加により脱保護を伴い、ロジウム錯体を再活性化可能であることを見出した。このバイオハイブリッド触媒は、硝酸銀存在下においてオキシム及びアルキンの付加環化反応において触媒活性を示すことも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオハイブリッドの進化工学を行うためには、迅速に反応結果をスクリーニング可能にする蛍光性の生成物による探索手法の確立が重要であり、この点を計画通りに達成した。また、細胞表面に金属錯体を固定化するホールセル触媒の調製方法を最適化ができる目途が立っており、指向性進化法の確立にむけて概ね順調に進展しているといえる
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Strategy for Future Research Activity |
金属錯体触媒と精密かつ多彩な反応場を提供するタンパク質を融合したバイオハイブリッド触媒の進化工学手法による高性能化に着手する。金属錯体は多様な物質変換反応を触媒する。一方で、酵素は多様な基質認識に加えて、精密かつ複雑な反応場をタンパク質マトリクスにより提供する。両者の利点を融合し、従来の合成触媒、あるいは酵素変異体では困難な物質変換を達成する。昨年度の研究成果として、強固なベータバレル構造のタンパク質の疎水空孔にロジウム触媒を固定化したバイオハイブリッド触媒を細胞表面に提示したホールセル触媒の調製に成功した。また、ロジウム錯体を連結したバイオハイブリッド触媒のための進化工学的スクリーニング手法を確立しており、本年度は、この手法を実際に活用して、環化付加反応によるイソキノリン合成における触媒活性の向上と位置選択性の向上を狙ってスクリーニングを実施する。ロジウム錯体の近傍のアミノ酸にランダムおよび飽和変異を導入し、イソキノリン合成において高活性および位置選択性の高いタンパク質ホストを網羅的に探索する。選び出したタンパク質ホストについては、精製品のバイオハイブリッド触媒を調製して、触媒活性や選択性をより詳細に評価する。
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[Presentation] Incorporation of a Noncanonical Metal-binding Amino Acid into a Nitrobindin Protein2018
Author(s)
Alvarez-Miller, M. C., Taniguchi, N., Minagawa, N., Onoda, A., Hashimoto, K., Maruoka, K., Uzawa, T., Hayashi, T.
Organizer
日本化学会第99春季年会
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