2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of visible light-induced domino reactions utilizing hybrid catalysis
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
18H04658
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
草間 博之 学習院大学, 理学部, 教授 (30242100)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機光反応 / カルベン / ラジカル / エネルギー移動 / 光誘起電子移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、光エネルギーを活用した高反応性化学種の発生と反応制御に基づく新規分子変換手法の開発を主題として研究を展開している。本年度は、申請者がこれまでに検討してきたアシルシランの光異性化によるカルベン生成を利用した分子変換反応を起点とし、1)可視光増感三重項エネルギー移動に基づく新規なカルベン生成法の開拓と合成反応への利用、2)光と金属種の協働作用に基づくアシルシランとイミン類との分子間カップリング反応の開発、3)光誘起電子移動を利用したケイ素置換イミン類からの新規ラジカル発生法の開拓と反応制御、について研究を展開した。 その結果、1)については効率的なエネルギー移動を実現する触媒系を発見し、直接励起法では重大な副反応を伴うアシルシラン類を基質としても効果的にカルベン生成を実現することに成功した。またこの手法を用いることで、多様なアシルシランと有機ホウ素化合物、アルデヒドとの分子間カップリングが高収率で進行することを明らかにした。 2)については、適切な銅触媒の存在下でアシルシランとN-アルキルイミンとの混合物に光照射を行うと、アゾメチンイリド型反応中間体を経由すると考えられる新規なイミド形成反応が実現できることを見出した。また、領域内共同研究の実施により、現時点までに本反応の機構に関する興味深い知見を得ることができた。これは、今後、シロキシカルベン種の反応性制御を行う上での重要な知見ともなる。 3)については、モノシリルイミンの光誘起一電子酸化を契機とする新規ラジカル生成法の開発に成功すると共に、これを基盤として二つのシリル基を有するイミンからの連続的ラジカル生成に有効なハイブリッド触媒系の創出に成功した。これにより、同一の炭素上に二度ラジカル種を発生させることが可能となり、異なる二分子のアルケン類とのドミノ型炭素ー炭素結合形成を実現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、当初計画していた、1)可視光増感エネルギー移動に基づくアシルシランからの効率的カルベン生成、2)光と金属の協働作用に基づくアシルシランの反応制御に基づく分子変換手法の開拓、3)シリル置換イミン類の光誘起電子移動に基づくラジカル生成法の開拓と合成反応への利用、のそれぞれについて、興味深い研究成果を挙げることができたと共に、次年度の研究展開に向けて数々の有益な知見を得ることができた。そのため、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を踏まえ、今後は光と金属触媒との協働作用に基づく新規分子変換手法の開拓についてさらなる発展を目指して研究を実施する。具体的には、適切な金属触媒による有機分子の活性化手法と、光触媒を利用したカルベン生成手法との組み合わせにより、どちらか単独の触媒を用いただけでは実現できない高度な分子変換反応の開発研究を実施する。また、適切な反応系設計の下、ラジカル種とカルベン種をワンポットで連続的に発生させる新手法の開拓を試み、新規なドミノ型分子変換による複雑分子の短行程合成についても検討する。加えて、これら反応を不斉合成手法へと展開する試みを行う計画である。
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Research Products
(13 results)