2018 Fiscal Year Annual Research Report
不斉酸素酸化反応におけるハイブリッド触媒のデータ駆動による効率的設計
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
18H04663
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山口 滋 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (70620821)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | データ駆動型触媒設計 / 触媒的不斉合成 / 分子触媒 / キャタリストインフォマティクス / 分子場解析 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では分子触媒のデータ駆動型設計法の提唱・構築を目的としている。とくにハイブリッド触媒を設計対象とする。軸となる手法は、分子場解析と呼ばれる3次元構造活性相関(3D-QSAR:Quantitative Structure-Activity Relatio nship)手法である。不斉触媒反応における分子場解析とは、生成物の鏡像異性体比と、触媒など分子の3次元構造から計算した分子構造情報(分子場)との間の回帰分析である。作成した回帰式の回帰係数の値の大小からエナンチオ選択性にとって重要な構造情報を抽出・可視化できる。どこに置換基を導入すれば選択性が向上するか一目でわかることから効率的に不斉触媒を設計できると期待される。しかし、可視化した構造情報をもとに不斉収率が向上する分子設計に成功した例は、これまでなかった。モデル反応を用いて分子場解析の改良を行い、不斉触媒反応におけるデータ駆動型分子設計のための方法論の基礎を固めることに成功した。分子場解析により可視化した重要構造情報をもとに分子設計を行い、DFT計算や実験により、設計した分子が、解析に用いた訓練データの最大値を超えるエナンチオ選択性を示すことを明らかにした(論文投稿中)。データ科学的手法を用いた場合、精度の高い予測ができるのは、解析に用いたデータの範囲内に限られる。したがって、手持ちのデータを超える機能を示す分子のデータ駆動による予測・設計は簡単ではない。データ科学による触媒反応開発の効率化のために必須となる解析データを超える性能を示す分子のデータ駆動型設計手法の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年度前期までかかることを見込んでいた分子場解析に基づくデータ駆動型分子設計手法の構築を2018年度中に達成することができた(論文投稿中)ことから、当初の計画以上に研究が進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究を中心に分子場解析に基づくデータ駆動型触媒設計法の基礎を固めながら、その有用性を実証していく。平成30年度はエナンチオ選択性の向上のみを目的としていたが、ジアステレオ選択性や生成物選択性の向上といった目的に合わせた種々の分子設計ができるように開発したデータ駆動型分子設計法を改良していく。
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