2018 Fiscal Year Annual Research Report
リポクオリティとTLR活性化機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Quality of lipids in biological systems |
Project/Area Number |
18H04669
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大戸 梅治 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (90451856)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | シグナル伝達 / 構造生物学 / ナノディスク |
Outline of Annual Research Achievements |
自然免疫は微生物の感染に対する生体の初期防御反応である。Toll-like receptors (TLRs)は、微生物の構成成分を認識し自然免疫を活性化する一回膜貫通型の受容体であり、自然免疫において中心的な役割を果たす。TLRは、様々な疾患に関わり、それらの治療薬のターゲットとされている。これまでの細胞外ドメインを用いた構造生物学的研究により、TLRが特異的にリガンドを認識する機構、細胞外ドメインが二量体化する機構が明らかになった。しかし、依然として細胞外ドメインから細胞内へとどのように情報が伝達されるかに関しては不明である。本研究の目標は、TLR全長を異なる脂質組成の脂質二重膜中に再構成し、ある種の脂質または脂質ラフト構造がTLRの活性化にどのような影響を与えるのかを解析することである。最終的には、膜上でのTLR全長の活性化機構を解明し、それを通じ、TLRを標的とした薬剤の開発に資することである。医学・薬学的に重要なTLRとその働く場である脂質二重膜のリポクオリティの関係を明らかにする。 上記を達成するために、今年度はTLRを再構成したナノディスクに調製に注力した。その結果、TLR3全長をナノディスクに再構成することに成功した。ナノディスクに再構成したTLR3全長にかんしてネガティブ染色での電子顕微鏡観察を進めた。また、ナノディスクに再構成した試料に関してリガンド結合を確認している。今後、ナノディスクに再構成するTLR3分子の数を制御することを進め、様々な膜環境下でのTLR全長の構造解析を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TLR3全長に関して、1つのナノディスクに1分子のTLR3全長を再構成することに成功している。1つのナノディスクに2分子のTLR3全長を再構成することに関しても、まだ純度が不十分であるが部分的に成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続きTLR3全長をナノディスクに再構成する条件の検討を進め、1つのナノディスクに2分子のTLR3全長を再構成した試料を得る。試料が得られたら、クライオ電顕解析を進めるとともに、様々な膜組成のナノディスクに再構成した試料を調製して、膜組成がTLR3全長の働きに与える影響を検討する。
|
Remarks |
研究室ホームページ http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~kouzou/index.html
|