2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the influence of lipoquality on lipid-protein interaction by molecular dynamics simulations
Publicly Offered Research
Project Area | Quality of lipids in biological systems |
Project/Area Number |
18H04678
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 詠士 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (00779340)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 分子動力学シミュレーション / プレクストリン相同ドメイン / ホスホイノシタイド / イノシトールリン脂質 / リポクオリティ / 脂質ータンパク質相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,マルチスケール分子動力学シミュレーション法を用いて,ホスホイノシタイド/イノシトール リン脂質(PIPs)の脂肪酸組成の違いが生体膜上における脂質―膜結合タンパク質相互作用やタンパク質のダイナミクスに与える影響について,分子レベルで解明することを目指している.初年度の研究成果を下記に述べる. (1)Btk(Bruton’s tyrosine kinase)-PH ドメイン/生体膜/イオン/水分子系の粗視化分子動力学シミュレーションを行い,PIPsの脂肪酸の違いやPIPsの膜中での濃度の違いが,タンパク質の膜上での配向に影響を与えることを明らかにした. (2)アシル基がパルミチン酸のみで構成されるPIP3(32:0)と,ステアリン酸とアラキドン酸で構成されるPIP3(38:4)の2種類について膜内での分布を解析した結果,PIP3(38:4)含有膜では,PIP3(32:0)に比べ,アシル基が膜界面近傍でPHドメインと相互作用していることがわかった. (3)レプリカ交換アンブレラサンプリング法を用いてPHドメインの生体膜への結合エネルギーを計算し,PIPsのアシル基の違いによってPHドメインと生体膜との相互作用に違いがあることが明らかになった. (4)変異体(Y142A,F146A)について全原子分子動力学シミュレーションを行った結果,タンパク質構造が変化し,ノンカノニカルサイトが維持されないことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度計画していた研究項目について研究を実施し,概ね順調に進展している. 脂肪酸の組成が違うPIPsを含む生体膜とBtk-PHドメインのマルチスケール分子動力学シミュレーションを行い,PIPsの脂肪酸の違いがBtk-PHドメインと生体膜との相互作用に影響を与えることを分子レベルで明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,前年度に引き続き,Btk-PHドメインとPIPsとの相互作用を分子レベルで解析するとともに, (1)PIPsの脂肪酸の違いがPHドメインの生体膜上でのダイナミクスに与える影響を,粗視化分子シミュレーションと非平衡統計力学的手法によって解析する. (2)人口脂質膜を用いた生化学実験によってBtk-PHドメインの生体膜への結合性を解析し,分子動力学シミュレーションと生化学実験を相互にフィードバックを掛け合いながら洗練し,脂質―タンパク質の新しい相互作用モードを提示する.
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