2018 Fiscal Year Annual Research Report
X線1分子動態計測による温度依存性イオンチャネル開閉制御機構の動的解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative understanding of biological phenomena with temperature as a key theme |
Project/Area Number |
18H04692
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
清水 啓史 福井大学, 学術研究院医学系部門, 講師 (50324158)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 1分子計測 / 蛋白質 / X線回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大きな構造変化から1分子揺らぎまで計測できるX線1分子動態計測法を用いて温度依存性TRP(transient receptor potential)チャネルファミリー分子の1分子動態計測を行い、温度依存性の開閉機構を動的側面より解明することを目的とする。私たちははこれまでKcsAチャネルを用いて1分子の構造変化計測を行ってきた。X線1分子動態計測法を様々な蛋白質に利用可能な汎用性の高い計測法とするため、2008年以降慎重に開発を進め、高速観測システムの開発、温度ジャンプシステムの開発を行ってきた。本研究ではTRPチャネルに測定法を応用し、温度依存性の開閉制御機構を解明することを目指す。 本年度はTRPチャネル発現・精製を行った。立体構造情報から、X線1分子動態計測に用いるための基盤との反応部位、金ナノ結晶の反応部位を仮に決定し、培養細胞での発現系の構築、機能評価システムの構築を行った。決定した部位の妥当性の評価のため、放射光実験施設で評価を行った。発現精製については研究協力者である小川治夫准教授、村山尚准教授の協力を得て行った。低ノイズ溶液置換観測チャンバー(X線照射による温度変化のないデバイス)については研究協力者として平井義和助教(京都大学)研究協力者として田畑修教授(京都大学)の協力を得て行った。また放射光施設での実験および1分子電流評価は岩本真幸助教(福井大学)の協力を得て行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度はTRPチャネルファミリーのうちから観測に適する分子を選択することを目指していた。試験的に一つの分子を選択し、基板と反応部位、金ナノ結晶を特異的に取り付ける部位のデザインを行った。変異体の遺伝子を作製し、哺乳類の細胞で発現し、機能解析を行ったところ、基本的な分子の特性を保持していることを確認した。変異体分子を複数作製し、その機能への影響を測定し、1分子動態計測に用いる初期配列を決定した。放射光施設での実験のため、観測基板上への固定を行い、金ナノ結晶を取り付けて、1分子動態計測を試験的に行うことができた。これは想定を超えた進展であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度作製した変異体分子の機能解析をすすめると共に、別の変異体も作製し、1分子動態計測を試みる。溶液条件を様々に変化させながら、1分子動態が変化するかどうかについての検証を行う。1分子電流計測も併せて行い、分子機能の妥当性を評価する。
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Research Products
(7 results)