2018 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光スイッチ分子の化学デザインと生体イメージング
Publicly Offered Research
Project Area | Resonance Biology for Innovative Bioimaging |
Project/Area Number |
18H04735
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 雄一郎 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00444563)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | PYPタグ / OFF-ON-OFF型蛍光プローブ / タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質の発現と分解の制御は、シグナル伝達、オートファジー、細胞周期や免疫などの様々な生命現象において重要な役割を果たしている。本研究では、タンパク質の発現直後の動態と分解を可視化することを目的として、PYPタグ標識技術を応用し、遊離状態では非蛍光性で、タンパク質を標識すると蛍光性となり、タンパク質が分解すると非蛍光性となるOFF-ON-OFF型蛍光プロープを開発した。 これまでの研究において、PYPタグリガンドである7-ヒドロキシクマリン(7-HC)と蛍光色素であるフルオレセイン、及び消光分子であるジニトロベンゼン(DNB)を持つOFF-ON-OFF型蛍光プロープを開発してきた。このプローブは、遊離状態では、フルオレセインとDNBの会合により消光しているが、PYPタグと結合するとDNBが解離し蛍光を発し、タンパク質分解が起こるとフルオレセインと7-HCが会合し、消光する。本年度の研究では、蛍光波長を長波長化したOFF-ON-OFF型蛍光プローブを開発した。まず、フルオレセインをロドール、ローダミン(TAMRA)に変更したプローブを合成し、ラベル化特性および蛍光特性を検証した。ロドール及びTAMRAを導入したプローブは、遊離状態では非蛍光性で、PYPタグと結合すると蛍光強度を上昇させた。次に、タンパク質をトリプシンで分解したところ、蛍光強度が低下した。蛍光強度の低下の度合いは、色素がフルオレセインのときよりも大きく、より明確にタンパク質の分解を捉えることができることが判明した。以上の結果から、長波長化したOFF-ON-OFF型蛍光プローブの開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的は、フルオレセインよりも長波長化したOFF-ON-OFF型蛍光プローブを開発することであった。実際に、より長波長の蛍光色素を導入したプローブを合成し、蛍光測定したところ、当初想定していたように、タンパク質のラベル化と分解に応答して蛍光強度が変化することが分かった。その蛍光強度のOFF-ON-OFF応答は、フルオレセインよりも優れたものであることが分かった。このように、当初の目的が達成されており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アリルアゾピラゾール(AAP)と呼ばれるフォトクロミック分子を用いて、蛍光強度をOFF-ONスイッチングする蛍光プローブを開発する。これまでは、蛍光スイッチ機能をタンパク質のラベル化と分解を可視化するために用いてきたが、AAPに関するプロジェクトでは、タンパク質の局在を光の回折限界を超えた分解能で捉えるため、光照射により蛍光強度を制御することのできる分子の開発に取り組む。具体的には、AAPの構造変化を光により制御し、その構造変化を色素の蛍光強度のアウトプットに繋げることのできる分子を開発する。
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Research Products
(3 results)