2018 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光リガンド・受容体一体型センサーによる細胞間コミュニケーションの解析
Publicly Offered Research
Project Area | Resonance Biology for Innovative Bioimaging |
Project/Area Number |
18H04741
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
谷村 明彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70217149)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 蛍光センサー / 細胞外メッセンジャー / FRET / アセチルコリン / アンジオテンシンII / TGFβ / FGF |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分子内にリガンド部とその結合サイトをもつtethered蛍光リガンド型センサーを確立し、アセチルコリン(ACh)、アンジオテンシンII(AngII)、増殖因子などの細胞外メッセンジャーの可視化法を確立し、唾液腺におけるCa2+オシレーションの組織レベル同調のしくみや、歯原性上皮細胞(SF2細胞)と歯髄幹細胞(DPSC)の共培養によって発生する自発的Ca2+オシレーションのしくみを解明することである。 今年度は、開発対象となる細胞外メッセンジャーを決定するために、in vivo Ca2+イメージング解析等によってラット唾液腺におけるCa2+オシレーション発生と、SF2細胞とDPSCの共培養によって発生する自発的Ca2+オシレーションに関与する増殖因子の同定を行った。この研究によって、唾液腺の組織レベルで同調したCa2+オシレーションには、局所的なACh濃度とAngII濃度の変化が関与することや、SF2細胞とDPSCの共培養によって発生する自発的Ca2+オシレーションには、TGFβやEGFが関与することが明らかになった。 また、細胞外メッセンジャーを不動化する担体として、COOH基を付与したシリカ製不織布の開発を行った。またシリカ表面をアルミニウムで被覆することによって、非特異的結合を低減できることなどを明らかにした。このシリカ製不織布の特性と蛍光センサーを不動化する条件の最適化を行った。さらにこの不織布上で、FRETおよび競合FRET測定が可能であることを確認した。不織布を用いることによって、2種類の蛍光分子を使ったFRETセンサーを1つの担体上に結合させ、センサーとして用いることが可能になり、蛍光センサーの分子設計の自由度を大幅に高める事が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アセチルコリン(ACh)の持続投与によって発生する唾液腺におけるCa2+オシレーションの組織レベル同調にアンジオテンシンII(AngII)が関与することが明らかになった。この研究では、唾液腺のin vivo Ca2+イメージングに加えて、レーザースペックル血流計を使った血流イメージングを行う事によって、Ca2+オシレーションの同調に血流が関与することが明らかになった。さらにAT1受容体遮断薬のみならず、ACE阻害薬によってオシレーションが阻害されることや、AngIIの持続投与によってACE阻害薬によって停止したオシレーションを回復させることに成功した。この結果から、AChとAngIIの局所的な濃度変化の解析の重要性が明らかになった。また阻害剤を用いた解析によって、SF2細胞とDPSCの共培養によって発生する自発的Ca2+オシレーションには、TGFβやEGFが関与することが明らかになった。これらの結果によって、可視化が細胞外メッセンジャーが明らかになり、それらの分子設計を行っている。 細胞外メッセンジャーの可視化には、細胞外に蛍光センサーを固定するための足場が必要である。その足場として、COOHラベルしたシリカ製不織布を開発した。不織布はガラスなどの平板と比較して表面積が大きく、自由に変形させることが可能である。さらに複数の分子を結合させることが可能である。これによって従来の1分子型センサーに加えて、2分子型のセンサーの設計が可能になった。さらに複数の蛍光センサーを固定したセンサー担体の作成など、細胞外センサー技術の応用の可能性を広げることが可能になった。研究協力者:蓑輪英里佳、郷賢治、石田成美、Azmeree Jahan
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Strategy for Future Research Activity |
AChセンサーの開発:ACh結合タンパク質(ACh-BP)にCFPを連結したリガンド結合ドメインを発現させ、これをシリカ製不織布に結合させる。これに蛍光ラベルしたリガンド(蛍光αブンガロトキシンなど)を作用させてFRETを起こす。さらに、AChと蛍光リガンドの競合によるFRETの変化を利用してAChの測定を可能にする。 AngIIセンサーの開発:AngII受容体(AT1)にCFPを連結した受容体細胞表面を発現させ、これに蛍光ラベルしたAngIIを作用させてFRETを起こす。さらに、AngIIと蛍光リガンドの競合によるFRETの変化を利用してAngIIの測定を可能にする。また、AngIIと蛍光AT1を連結したセンサーの開発を試みる。 EGFおよびTGFβセンサーの開発: EGF受容体(EGFR)あるいはTGFβ受容体(TGFβR)のリガンド結合ドメイン(LBD)と蛍光タンパク質をタンデムに連結させ(LBD-CFP-LBD-YFP)、リガンドの結合によるFRETを利用したセンサーを作成する。これと並行して、蛍光ラベルしたこれらの受容体と蛍光ラベルした成長因子(EGFあるいはTGFβ)を使ったセンサーを開発する。この場合、蛍光LBDと蛍光成長因子を不織布に結合させたセンサーなどを試みる。
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[Journal Article] Bcl 2 and IP3 compete for the ligand_binding domain of IP3Rs modulating Ca2+ signaling output2019
Author(s)
Ivanova H, Wagner LE II, Tanimura A, Vandermarliere E, Luyten T, Welkenhuyzen K, De Smedt H, Lennart ML,Yule DI,Parys JB, Bultynck G
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Journal Title
Cellular and Molecular Life Sciences
Volume: in press
Pages: 未定
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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