2018 Fiscal Year Annual Research Report
撥水性ナノ薄膜の創製とカバーガラスフリー生体深部イメージングへの応用展開
Publicly Offered Research
Project Area | Resonance Biology for Innovative Bioimaging |
Project/Area Number |
18H04744
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡村 陽介 東海大学, 工学部, 准教授 (40365408)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 撥水性ナノ薄膜 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
顕微鏡によるイメージング技術は時々刻々と進化しており、生命現象をライブで可視化しありのままの情報を得る必要不可欠な観察法である。しかし、カバーガラスを介して生体組織を可視化するのが常套手段であるため、組織とカバーガラスの屈折率の相違による球面収差の課題に直面する。他方、厚みをナノ寸法に制御したナノ透明薄膜は、ナノ厚特有の高接着性が発現し、接着剤なしで生体組織に貼付できるユニークな性質をもつ。本研究では、組織の乾燥を防ぎかつ水とほぼ同じ屈折率をもつ撥水性ナノ薄膜を創製し、カバーガラスフリーの生体深部イメージング法を提唱する。従来のカバーガラスを使用する固定観念を払拭し、工学的見地から球面収差の解消と対物レンズの作動距離の向上を狙う「生体深部イメージング用アクセサリ」を開発して、組織環境の理解、その機能解明に迫る。 フッ素系樹脂からなる撥水性ナノ薄膜を創製した。具体的には、シリコン基板上に水溶性犠牲層を形成させ、フッ素系樹脂溶液をスピンコートした。得られた基板を純水に浸漬させたところ、犠牲層が溶解して撥水性ナノ薄膜を回収した。また、シランカップリング法にて、撥水性ナノ薄膜の表面改質法も確立した。次いで、細胞に蛍光タンパク質を発現させた生体組織のイメージングを行った。その結果、ナノ薄膜を介してイメージングした場合、カバーガラスを介す従来法と比較して、深部まで観察可能となり、作動距離が劇的に向上することを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、撥水性ナノ薄膜の創製法、ならびにその表面改質法を確立した。ナノ薄膜を介したイメージング法を提案し、生体組織をより深部まで可視化できることを実証した。したがって、本年度の研究目標は計画通りに達成され、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、屈折率やユーザビリティーを鑑みたナノ薄膜のプロトタイプを完成させ、カバーガラスフリー生体深部イメージング法を世に発信する。
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Research Products
(4 results)