2018 Fiscal Year Annual Research Report
鰭から肢への形態進化を駆動した上皮細胞形態変化の3D解析
Publicly Offered Research
Project Area | Discovery of the logic that establishes the 3D structure of organisms |
Project/Area Number |
18H04756
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 宏治 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70261550)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞形態 / 形態進化 / 鰭 / 四肢 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎動物において対鰭が四肢へと進化した過程で、鰭の鰭条外骨格がなくなる代わりに四肢では内骨格が発達して肢のすべての骨格要素をつくるようになったが、この対鰭と四肢の形態の違いは、AER からAF へという上皮構造の形態変化が鰭原基のみで起こることに起因する可能性がある。本研究の目的は、AER-AF 転換と名付けたこの上皮形態の変化がどのように生じ、その変化が鰭と四肢の形態差にどのように関与するかを明らかにすることであり、これにより、細胞形態変化メカニズムが形態進化を駆動している可能性を検討したいと考えている。 2018年度は、AER-AF転換において起こる鰭上皮形態の変化を観察し、定量化(数値化)するための準備として、鰭原基における上皮細胞や間充織細胞を可視化するため、上皮細胞のみ、あるいは間充織細胞のみが標識された各種トランスジェニックゼブラフィッシュを作製した。また、3次元データの収集を行うため、共焦点レーザー顕微鏡を用いたタイムラプス撮影による観察手法の確立を行った。一部の撮影データについて定量解析を行った。さらに、上皮の形態変化をおこす分子メカニズムを明らかにし、形態変化がAER-AF転換にどのように関わるのかを明らかにするため、それに関わる分子を網羅的な解析により同定にしたいと考え、先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム(先端ゲノム支援)からの支援を得て、AER-AF転換前からAF形成期に至る各鰭発生段階において鰭原基からRNAを抽出し、トランスクリプトーム解析(RNA-seq)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、AER-AF転換における鰭上皮形態の変化を定量化をするための実験系を確立した。また、AER-AF転換期の形態変化に関わる分子として細胞骨格系分子に着目し研究を進める予定であったが、先進ゲノム支援からの支援を得て、網羅的により特異的な関連分子を探索する目途が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は実験系の確立、実験データの収集を主に行ったため、研究の中心となる3Dデータの解析は2019年度に行うことになる。現時点で実験計画に大きな問題点はないが、実験データの解析には連携研究者である森下喜弘氏や当該新学術領域の理論・技術系の研究グループからの助力が必要となることが予想されることから、彼らと綿密な連絡を取り、万全の体制を整える予定である。
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Research Products
(4 results)