2018 Fiscal Year Annual Research Report
フグが「ミステリーサークル」を建設するロジックを解明する-3Dシミュレーション
Publicly Offered Research
Project Area | Discovery of the logic that establishes the 3D structure of organisms |
Project/Area Number |
18H04770
|
Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
川瀬 裕司 千葉県立中央博物館, 分館海の博物館, 主任上席研究員 (10270620)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | アルゴリズム / シミュレーション / フグ科魚類 / 繁殖行動 / 潜水観察 / 奄美大島 |
Outline of Annual Research Achievements |
アマミホシゾラフグは奄美大島周辺など限定的なエリアに生息する体長10cm足らずのフグ科魚類で,オスは海底に直径約2mの円形幾何学模様の産卵床「ミステリーサークル」をつくり,そこへやってくるメスと繁殖を繰り返すことが知られている。本研究は,この小さなフグがいかにして精巧な「ミステリーサークル」をつくることができるのか解明することを目的としている。 これまでに潜水調査により得られた動画からフグが海底で砂を掘る軌跡を抽出して,(1)外側から内側へ向かって向かって砂を掘る,(2)低い位置から掘り進めやすい(既に出来ている山部を崩しにくい)という2つの単純なルールの下でコンピュータシミュレーションを行ったところ,「ミステリーサークル」に類似した放射状模様の形成されることが明らかとなった。また,フグの体の大きさ,鰭で砂を飛ばす速度,砂の粒度により,「ミステリーサークル」の外円に形成される放射状構造の数が変化することが示唆された(Mizuuchi et al. 2018)。 そこで次のステップとして,2Dで解明された「ミステリーサークル」の形成ロジックをさらに発展させて3Dでシミュレーションを行うために必要な映像を調査地(奄美大島嘉鉄沖)で水中撮影を行い,まず,つくり始めから完成に至る各ステージの「ミステリーサークル」の3Dモデルの構築を行った。これにより,「ミステリーサークル」各部位の長さとその変化の定量化が完成し(Kawase et al, in prep.),3Dシミュレーションに重要な基礎データが得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度のフィールド調査期間中には2度の台風に見舞われるなどの影響で潜水調査支障が生じたが,必要な映像やデータは得ることが出来ており,本研究自体は概ね順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の最大の目的である「ミステリーサークル」形成の3Dシミュレーションに必要なデータはほぼ揃っているので,今後本格的なモデルづくりを進めていく予定である。また,2Dシミュレーションで得られた,「フグの体の大きさ,鰭で砂を飛ばす速度,砂の粒度により,「ミステリーサークル」の外円に形成される放射状構造の数が変化する」という仮説の検証にも取り組んでいきたい。
|