2019 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科の自他花粉識別における生理応答機構の可逆性の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative system of autonomous environmental signal recognition and memorization for plant plasticity |
Project/Area Number |
18H04776
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 壮太 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90716713)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自家不和合性 / 受粉 / ライブイメージング / シミュレーション / 進化 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)自家不和合性の可逆的細胞応答反応の解明 アブラナ科植物では花粉側因子SP11と雌蕊側因子SRKとの直接的な相互作用により、自他識別が行われる.自己と非自己をひとつの雌蕊乳頭細胞に同時に受粉した場合、非自己花粉は拡散性シグナルの影響を受けて発芽遅延する.一方自己花粉はそのまま不可逆的に発芽が抑制される.従って自家不和合性反応ではシグナルの拡散性と局所性が混在している.この研究ではシグナルの持続時間や空間的な広がりを理解することで、植物の局所応答と記憶のつながりについて基礎知見を得たい. SRKのライブイメージングから、SRKがダイマー化して自家受粉のシグナル伝達を行うことが示唆された.一方、なぜ自己花粉が局所的にリジェクトされるのかについては明確な結果を得られていない.しかし、他の研究から花粉を受け入れるためには花粉と雌蕊間の局所的な応答性が重要であることが示唆された(Fujii et al Nature Plants 2019).SRKによる自己花粉排除機構は、このような受け入れ機構を阻害している可能性があると考えられた. 2)局所細胞応答が集団の進化に与えるインパクトのシミュレーション 自家不和合性は自他識別機構であり、集団中で機能する.本研究では実験で観察された細胞反応の性質や、自家不和合性反応の強弱を数理モデルに組み込んだ.このモデルを用いて、これまで分野で長年の謎として残ってきた問い「どのようにして新しいSハプロタイプが誕生するのか」について検証した.その結果、自家不和合性が適度に弱い状況でのみ新しいSハプロタイプが誕生することができ、さらにS対立遺伝子間の優劣性が重要な役割を担っていることが明らかになってきた.関連して、シロイヌナズナの多くの系統のSRKは逆位反復配列が生じる形で機能が壊れており、この構造が対立側のSRKアリルの発現を抑制することを明らかにした(Fujii et al Nature Communications 2020).
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)