2018 Fiscal Year Annual Research Report
維管束を利用した時間情報共有 メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative system of autonomous environmental signal recognition and memorization for plant plasticity |
Project/Area Number |
18H04781
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
遠藤 求 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (80551499)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 概日時計 / 栄養 / 時間情報伝達 / 維管束 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から地上部と根はそれぞれ独立に時間を計測している。その一方で両者の間には何らかのカップリングがあることも想定されていた。そこで維管束を介して根と地上部の間で時間情報が伝達される仕組みを明らかにするため、地上部と根を区別して概日リズムを計測すると共に、地上部および根に様々な摂動を与えた。その結果、地上部にショ糖を添加すると根のPRR7の発現が上昇し、地上部の糖はなんらかの形で根の概日時計に影響を与えていることを明らかにした。さらに、PRR7によって発現が制御されていると予想されるAHA1は膜電位形成を介して栄養取り込みに関わると考えられている。 道管液を4時間毎に採取し、イオンクロマトグラフィーによって陽イオンを計測したところ、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど幅広い元素に見られた取り込みリズムがPRR7過剰発現体ならびにaha1変異体では、栄養素の取り込みリズムが失われていることを見出した。カリウムなどの取り込みに関わるトランスポーターはいくつか知られているものの、aha1変異体とPRR7過剰発現体ではベース部分の取り込みは残っており、取り込みリズムに相当する部分だけが見られなかったことから、AHA1とPRR7はイオンの周期的な取り込みリズム形成に関わっていることを明らかにした。 さらに、この状況においてカリウムが取り込めなくなると、地上部の概日リズムの周期が不安定になることが示され、こうした地上部と根の間の時間情報伝達が、概日リズムの周期安定性に貢献していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要な実験はほぼ終え、現在、論文を執筆中である。栄養素と時間情報伝達の関係については、当初解析する予定の実験はほぼ終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
論文投稿に向けて必要な実験を行う。特に接ぎ木や数理モデリングなどは必要でありながら、未実施であるため、これらを優先的に進めると共に、欠損部分がある道管液中のイオン濃度の測定などを行う。
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Research Products
(26 results)