2018 Fiscal Year Annual Research Report
Contribution of sulfur metabolism to skeletal muscle performance
Publicly Offered Research
Project Area | Transomic Analysis of Metabolic Adaptation |
Project/Area Number |
18H04794
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本橋 ほづみ 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (00282351)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | NRF2 / 骨格筋 / イオウ代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化ストレス応答の鍵因子であるNRF2は、シスチントランスポーターや、グルタチオン合成酵素などのイオウ代謝関連因子を統括的に制御しており、細胞内へのシステイン供給において重要な役割を果たしている。最近、骨格筋におけるNRF2活性化が酸素消費を増加させ、運動機能を改善することが明らかにになった。一方、申請者らは、ミトコンドリアにおけるイオウ代謝が電子伝達系と共役してエネルギー産生効率を増強する可能性を見出した。そこで、本研究では、NRF2の活性化による骨格筋パフォーマンスの改善には、イオウ代謝促進によるミトコンドリア機能の増強が貢献することを検証する。また、定期的な運動がもたらす骨格筋の器質的・機能的変化の分子基盤をNRF2とイオウ代謝の側面から明らかにする。この目的のために、NRF2活性化による骨格筋パフォーマンスの改善に対するミトコンドリア・イオウ代謝の貢献と定期的な運動刺激が骨格筋の器質的・機能的変化に及ぼす影響に焦点をあてて解析をすすめることにした。NRF2は、シスチントランスポーター(xCT)や、グルタチオン合成酵素(GCLC, GCLM)、グルタチオン還元酵素(GSR)やNADPH産生酵素を統括的に制御しており、細胞内へのシステイン供給において重要な役割を果たしている。本研究では、NRF2の活性化による骨格筋パフォーマンスの改善には、イオウ代謝促進によるミトコンドリア機能の増強が貢献することを検証ために、骨格筋のイオウ代謝物の測定を実施した。また、運動による骨格筋の代謝変化は、グルタチオンの減少など酸化ストレスを生じることが報告されていることから、運動負荷によりNRF2の活性化が誘導されると予想される。そこで、定期的な運動がもたらす骨格筋の遺伝子発現変化をRNA-seqにより検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
NRF2活性化とイオウ代謝の関係の解析を、ミトコンドリア膜電位に着目して解析を進めた。その結果、NRF2の活性化により、より効率的な酸素呼吸の遂行が可能になっていることが明らかになった。また、通常酸素分圧下と低酸素条件下においては、細胞内におけるイオウ代謝の動態が変化している可能性が明らかになってきた。一方、運動による骨格筋の遺伝子発現の変化を調べるためのRNA-seq解析も順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
運動による骨格筋での遺伝子発現の変化とエピゲノムの変化について、RNA-seqとあわせてChIP-seqによるNRF2のゲノムワイドな分布、エンハンサー形成の状況を調べる。また、代謝物についても検討をすすめる。さらに、運動による骨格筋の筋繊維の構成についても組織学的な解析を行う。これらにより、おミックスデータの統合解析をすすめ、運動がもたらす代謝アダプテーションとNRF2活性化がもたらす遺伝子発現変化の相乗効果の分子基盤を明らかにする。
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Research Products
(60 results)