2018 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞を用いた転写から翻訳までの統合的制御機構の理解
Publicly Offered Research
Project Area | Transomic Analysis of Metabolic Adaptation |
Project/Area Number |
18H04796
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
稲垣 毅 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (10507825)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エピゲノム / ヒストン修飾 / 脂肪細胞 / セントラルドグマ |
Outline of Annual Research Achievements |
白色脂肪細胞モデルを用いて、エピゲノム修飾制御酵素である2-オキソグルタル酸(α-ケトグルタル酸(α-KG))依存性ジオキシゲナーゼの補酵素となる代謝物の濃度測定法の構築と質量分析を用いた網羅的ヒストン修飾同定法(セミボトムアップ法)の確立を実施した。植物や古細菌などでは窒素固定とアンモニア同化に重要なα-KGを直接感知するシステムが備わっているため、まずこれらの生物におけるニトロゲナーゼ転写制御因子配列をもとにα-KG測定用新規FRETプローブシステムを立ち上げた。このプローブを用いて脂肪細胞分化過程のα-KG濃度を測定することとし、一過性の強制発現系とレトロウィルスを用いた強制発現系、レトロトランスポゾンPiggyBacシステムを用いた三種の強制発現系を試行した。レトロウィルスを用いた場合にのみ蛍光が減弱したが、これはウィルスの逆転写反応時にCFPとYFPの遺伝子間の組換えが起きたものと推測し、そのほかの二つの方法を用いることとして解析プロトコルを構築した。また蛍光測定用プローブSiRhoNox-1による二価鉄測定法と原子吸光計を用いた細胞内鉄測定法について基礎検討を実施したうえで測定を行い、脂肪細胞分化に伴って細胞内鉄量が変化することを見出した。さらにヒストンメチル化修飾を網羅的に解析するための質量分析による新手法としてセミボトムアップ法の構築に挑み、脂肪細胞モデルから調整した精製ヒストンを対象とするヒストン断片の翻訳後修飾の同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に実施を予定していた2-オキソグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼ型エピゲノム修飾制御酵素の補酵素となる代謝物の濃度測定法構築と質量分析を用いた網羅的ヒストン修飾同定法の確立に成功しており、順調に研究が進展しているものと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで順調に計画が進んでいることから、引き続き予定通り研究を進める。本年度立ち上げた実験系を利用することで、エピゲノム酵素の補酵素となる代謝物が脂肪細胞の性質制御に与える影響を検討するとともに網羅的ヒストン修飾解析を実施し、ヒストン修飾による転写調節からRNAメチル化までを含むセントラルドグマ制御の統合的理解に迫る。
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