2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of Regulation Mechanism of Kinome Functions
Publicly Offered Research
Project Area | Transomic Analysis of Metabolic Adaptation |
Project/Area Number |
18H04799
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 直幸 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50545704)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プロテオミクス / シグナル伝達 / タンパク質キナーゼ / 分析化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プロテインキナーゼに焦点を当て、そのキナーゼ活性とキナーゼ自身の翻訳後修飾との関連性、すなわちキナーゼの活性制御メカニズムをキノームレベルで一斉解析する手法の開発を目的とする。 本年度の研究において、最初に、キナーゼ活性計測法に用いる基質ペプチドの選択性の評価を合成ペプチドとキナーゼ組換え体とのin vitro試験により行った。その結果、セリン/スレオニンキナーゼについては設計した187基質ペプチドの内、約半数が標的のキナーゼあるいはファミリーによって高選択的にリン酸化されることが示された。一方、チロシンキナーゼについては、ほとんどのキナーゼについて十分な選択性が得られていないことが分かった。基質ペプチドの選択性を向上させるために、in vitroキナーゼ反応試験後に得られたリン酸化ペプチド混合物の前分画を陰イオン交換あるいは高pH逆相クロマトグラフィーにより行い、従来よりもより大規模なin vitro基質の取得を行った。その結果、キナーゼ特異的なリン酸化モチーフを多く抽出することが可能となった。また、キナーゼ活性計測法の別法として、キナーゼの活性制御に関与することが既に知られているキナーゼ自身のリン酸化部位をターゲットにした、SRM(selected reaction monitoring)による定量法を開発した。 さらに、ゲノム情報未知な生物種に対するプロテオーム解析法の開発を行い、これをヘリコバクター・ピロリ菌のリン酸化プロテオーム解析に応用した。 これらの改良した手法を用いて、阻害薬刺激などによる摂動を与えた細胞株に対して、リン酸化プロテオーム解析とキナーゼ活性計測を行い、キナーゼのリン酸化状態と活性に関する情報を集積した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画にあった、摂動を与えた細胞株に対する、リン酸化プロテオーム解析とキナーゼ活性計測によるデータ取得については、データ数が少ないものの実施することができた。 キナーゼ活性計測に使用する基質ペプチドについては、セリン/スレオニンキナーゼについては半数以上が選択性が高い配列が設計可能となっており、より大規模な基質情報の取得により選択性の改善が見込まれることも示されている。 チロシンキナーゼについては、選択性の高い基質ペプチドが設計できていないという課題が残っているが、計画はおおむね順調に進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従い、2018年度に引き続き、摂動を与えた細胞に対してリン酸化プロテオーム解析およびキナーゼ活性計測を行う。 合わせて、キナーゼ活性計測に用いる基質ペプチドの改良と対象キナーゼの拡張を図る。2018年度に得たいくつかのキナーゼに対する大規模基質情報を用いて、基質ペプチドの再設計を行い、そのキナーゼ選択性を合成ペプチドを用いて評価を行う。選択性の改善が見られた際には、他のキナーゼについても大規模基質情報の取得を実施し、基質ペプチドの再設計、および新規な基質ペプチドの創製を行う。
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Research Products
(9 results)