2018 Fiscal Year Annual Research Report
データ駆動アプローチからのトランスオミクスネットワーク推定法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Transomic Analysis of Metabolic Adaptation |
Project/Area Number |
18H04801
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宇田 新介 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (20599609)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | システム生物学 / 情報科学 / トランスオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
トランスオミクスネットワークの推定は,データベースにある生物学的事前知識を用いる方法と事前知識に頼らずに統計的尺度からデータ駆動的に行う方法に大別され,適用に適したデータサイズや解釈のしやすさなどの点でそれぞれ一長一短がある.トランスオミクスではデータサイズが小さいことが多いため,我々はデータサイズが比較的小さい場合でも並び替え検定によって統計的尺度である条件付き独立性を調べる方法を開発した.一般に,並び替え検定によって条件付き独立性を調べるには,条件付きとして与えられる変数が,条件付き独立性を調べる対象となる2つの変数と関連している可能性があるため,無作為な並び替えを行うことができず,ブロッキングなどの処理が必要になる.しかし,小さなサンプルサイズのデータセットではブロッキングを行うことが一般に難しい.我々は,条件付き独立を調べる問題を独立性を調べる問題に変換することで,条件付き独立性を調べる場合にも並び替え検定を容易に行える手法を開発した.開発手法をベンチマークとして人工遺伝子ネットワークの推定に適用し,従来法よりよい結果を得ている. 並行して,条件付き独立性より精度は劣ると考えられるがより適用のしやすさで利点のある独立性を調べる方法によって,共同研究者より提供を受けた健常および肥満マウスの個体データから推定されるトランスオミクスネットワークを比較し,インスリン作用に関するいくつかの知見が得られている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では,開発手法は人工データによる評価でよい結果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
トランスオミクスデータの解析を目指し,情報理論的尺度を用いて,階層間の寄与や類似度を調べる手法を開発する.また,実データを用いた解析に着手し,インスリン作用ネットワークの推定などの実問題に取り組む準備を行う.
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