2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms for auxin-mediated formation of pluripotent stem cells
Publicly Offered Research
Project Area | Principles of pluripotent stem cells underlying plant vitality |
Project/Area Number |
18H04836
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西浜 竜一 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (70283455)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 全能性 / 多能性 / 幹細胞新生 / ゼニゴケ / オーキシン / 頂端細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
苔類ゼニゴケでは、胞子発芽体から幹細胞である頂端細胞が新生し形態形成が始まることから、胞子発芽体細胞は分化全能性状態、頂端細胞は分化多能性状態にあると言える。オーキシン受容体TIR1の変異体の解析から、核オーキシン信号伝達経路が分化全能性状態から多能性状態への移行に関与する可能性が示唆された。また、被子植物で幹細胞化抑制機能をもつ2種の酵素遺伝子AMP1およびCYP78のゼニゴケ変異体は、弱い器官分化能を有した多能性幹細胞塊となり、オーキシン低感受性を示す。上記変異体での遺伝子発現、クロマチン動態などを比較することで、全能性と多能性の実体、および幹細胞新生の分子機構を明らかにすることを目的としている。さらにオーキシン依存性転写因子ARFの幹細胞調節における役割を、協働する転写因子や細胞間相互作用因子にも着目して解明する。 当年度は、ゼニゴケ野生型の胞子発芽体細胞、tir1変異体、amp1変異体、cyp78変異体を用いたRNA-seq解析を行った。オーキシン処理の有無で比較したところ、オーキシン応答性遺伝子の割合は、野生型>cyp78≒amp1>tir1となり、cyp78、amp1変異体は野生型より低いオーキシン応答性を示すことがわかった。そのことと細胞塊になる表現型の関係を調べるため、オーキシン応答を促進する遺伝的操作をしたところ、amp1およびcyp78変異が抑圧された。つまりAMP1, CYP78両酵素遺伝子はオーキシン応答の促進物質を生成、あるいは抑制物質を不活化することで幹細胞化を抑制していると考えられた。 ゼニゴケが保持する3つのARFのうち、転写活性化型のARF1と転写抑制型のARF2の発現は、どちらも幹細胞領域で弱く、その周りで強いことがわかった。無性芽発生過程においてARF1とARF2は拮抗的に幹細胞形成を制御することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AMP1, CYP78機能とオーキシン応答の関連性についての理解をより深めることができ、変異体の細胞塊の特徴づけが進んだ。幹細胞形成における転写活性化型ARFと転写抑制型ARFの間での拮抗作用を明らかにできたことで、オーキシン応答の精細な調整が幹細胞形成に重要であることを示せただけでなく、ARFの作用機作の解明にも貢献できた。またそれらARFの発現領域の組み合わせパターンが、幹細胞領域、増殖領域、分化領域に対応するという興味深い結果が得られたことも、幹細胞形成機構を考える上で意義深い。 クロマチン状態を調べるためにATAC-seqおよびChIP-seq(あるいはCUT&RUN)を行う計画であった。試薬・試料の入手が遅れたり、解析機器の修理に時間がかかったことにより、プロトコールの確立がずれ込み、実行することができなかったが、次年度には行える見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-seqデータを用いて主成分分析やクラスタリングを行い、tir1変異体、amp1変異体、cyp78変異体における遺伝子発現プロファイルの関係性を明らかにする。また、それぞれの変異体で特徴的に発現している遺伝子を同定し、それらの幹細胞性制御への関与をゲノム編集技術を用いた遺伝学的解析により調べる。また、それらの細胞でATAC-seq解析および修飾ヒストンChIP-seq(あるいはCUT&RUN法)によりオープンクロマチン領域やクロマチン状態の変化を調べ、発現プロファイルと照合することで全能性と多能性を定義づける遺伝子発現状態を明らかにする。さらに、tir1変異体に条件的に活性化できるTIR1コンストラクトを導入し、活性化誘導後に遺伝子発現プロファイルやオープンクロマチン状態がどのように変化するのか調べ、全能性状態から多能性状態に推移する際にどのような変化を伴うか明らかにする。 AMP1およびCYP78によるオーキシン応答調節の仕組みを明らかにする。まず両遺伝子の発現部位を特定する。また、AMP1, CYP78がオーキシン応答経路のどこに作用するのか調べるため、変異体における転写抑制因子Aux/IAAの安定性を調べる。さらに計画班と協力して、両酵素の基質と産物の同定を目指す。 ARF1とARF2の幹細胞領域における発現制御機構を解明する。最近同定した幹細胞領域で特異的に発現するAP2/ERF型転写因子や、幹細胞領域で特徴的な発現をするEPFL-ER細胞間コミュニケーション信号伝達経路との機能的な関連を調べる。
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article] Physiological function of photoreceptor UVR8 in UV-B tolerance in the liverwort Marchantia polymorpha2019
Author(s)
Kondou Y, Miyagi Y, Morito T, Fujihira K, Miyauchi W, Moriyama A, Terasawa T, Ishida S, Iwabuchi K, Kubo H, Nishihama R, Ishizaki K, Kohchi T
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Journal Title
Planta
Volume: 249
Pages: 1349~1364
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Transcription factor DUO1 generated by neo-functionalization is associated with evolution of sperm differentiation in plants2018
Author(s)
Higo A, Kawashima T, Borg M, Zhao M, Lopez-Vidriero I, Sakayama H, Montgomery SA, Sekimoto H, Hackenberg D, Shimamura M, Nishiyama T, Sakakibara K, Tomita Y, Togawa T, Kunimoto K, Osakabe A, Suzuki Y, Yamato KT, Ishizaki K, Nishihama R, Kohchi T, Franco-Zorrilla JM, Twell D, Berger F, Araki T
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 9
Pages: 5283
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Loss of CG methylation in Marchantia polymorpha causes disorganization of cell division and reveals unique DNA methylation regulatory mechanisms of non-CG methylation2018
Author(s)
Ikeda Y, Nishihama R, Yamaoka S, Arteaga-Vazquez MA, Aguilar-Cruz A, Grimanelli D, Pogorelcnik R, Martienssen RA, Yamato KT, Kohchi T, Hirayama T, Mathieu O
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Journal Title
Plant and Cell Physiology
Volume: 59
Pages: 2421~2431
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Ligand-receptor co-evolution shaped the jasmonate pathway in land plants2018
Author(s)
Monte I, Ishida S, Zamarreno AM, Hamberg M, Franco-Zorrilla JM, Garcia-Casado G, Gouhier-Darimont C, Reymond P, Takahashi K, Garcia-Mina JM, Nishihama R, Kohchi T, Solano R
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Journal Title
Nature Chemical Biology
Volume: 14
Pages: 480~488
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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