2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of mechanisms that confer pericycle stemness
Publicly Offered Research
Project Area | Principles of pluripotent stem cells underlying plant vitality |
Project/Area Number |
18H04837
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柿本 辰男 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70214260)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 内鞘細胞 / 細胞周期 / 側根 / オーキシン / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の細胞は全能性を持っていると言われるがすべての細胞が全能性を持っているわけではない。多くの場合、分化に伴う核内倍加によって増殖、再生能力を失うと考えられている。一方、幹細胞は増殖、再生のポテンシャルを維持している。内鞘細胞は側根形成能力を持つ幹細胞であり、シロイヌナズナでは道管側の内鞘細胞(xylem-pole pericycle: XPP細胞)のみが幹細胞としての機能を持っているが、オーキシンシグナルを受けるまでは静止している。オーキシンシグナルを受けると不当分裂を起こし、小さい方の細胞の子孫が将来の側根原基を形成する。XPP以外の根の細胞はオーキシンに応答した分裂をおこさない。ここでは、内鞘細胞はこの特殊な幹細胞性機能を発揮する分子機構を明らかにすることが研究の目的である。本年度は、未だ不明な点が多い内鞘細胞の細胞周期を調べた。細胞周期マーカー用いたタイムラプス観察およびDNA合成基質アナログの取り込み実験によって、内鞘細胞はG2停止しており、オーキシンによってこれがG2停止が解除されることを明らかにした。また、これまでに私たちは内鞘細胞のアイデンティティーを決定する転写因子を探索し、これを見出していた。本年度は、これらの遺伝子の多重変異体を作成した。多重変異体においては、側根原基および側根数が減少していることを見出した。このことは、これらの転写因子が内鞘細胞のマスター調節因子であることを示している。また、これらの結果は、細胞分裂能力を維持しながらも再生能力を保つ内鞘細胞の特殊な幹細胞性の理解を大きく発展させるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで不明確であった内鞘細胞の細胞周期を明らかにし、オーキシンがG2停止解除を行うことを示した。また、内鞘細胞アイデンティティー決定因子候補の遺伝子の突然変異体において、内鞘アイデンティティーが失われることを示したため。
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Strategy for Future Research Activity |
内鞘細胞がG2停止していることを示したが、論文公開用に今後さらに高精度の実験を行う必要がある。内鞘細胞アイデンティティー決定のマスター転写因子の多重変異体に、内鞘細胞マーカーの導入を行う。また、マスター転写因子のターゲットを見出す。
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