2018 Fiscal Year Annual Research Report
植物TGNにおけるポストゴルジ輸送選別ゾーンの構築機構と動態
Publicly Offered Research
Project Area | Toward an integrative understanding of functional zones in organelles |
Project/Area Number |
18H04857
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
植村 知博 お茶の水女子大学, 理系女性教育開発共同機構, 准教授 (90415092)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | TGN / オルガネラゾーン / 植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
トランスゴルジ網(TGN)は、ゴルジ体のトランス槽の外側に存在する網目状の構造で、積荷タンパク質の選別を行う、ポストゴルジ輸送網の玄関にあたるオルガネラである。一般的にはTGNはゴルジ体の一部と考えられてきていた。しかし、我々は植物細胞を用いた超解像ライブイメージングにより、TGNはゴルジ体のトランス槽に接して存在するGA-TGNとゴルジ体とは独立して存在するGI-TGN の2種類が存在すること、GI-TGNはGA-TGNの一部が解離することによって形成され分泌経路で機能することを既に見出している。そこで本研究では、植物における「TGNの輸送選別ゾーンの構築機構と動態」を明らかにするために研究をおこなう。H30年度は以下の研究をおこなった。 (1)GA-TGNにおける分泌輸送ゾーンと液胞輸送ゾーンの動的観察 TGN、AP-1、AP-4を異なる3色の蛍光タンパク質で可視化した形質転換体を超解像ライブイメージングにより徹底的に観察し、AP-1ゾーンが分泌経路で、AP-4ゾーンが液胞輸送経路で機能していることを見出した。 (2)分泌輸送ゾーンから形成される分泌小胞の成熟機構の解明 TGNの分泌ゾーンからどのように分泌小胞が形成されるかについてAP-1だけでなくクラスリンやR-SNAREであるVAMP721も同時に観察をおこなった。その結果、AP-1とクラスリンはほとんどおなじ挙動を示すのに対して、R-SNAREであるVAMP721は成熟過程で、AP-1およびクラスリンとは分離することを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3種類の蛍光タンパク質を用いたマルチカラーイメージングの技術が安定してきており、順調に観察結果を得ることができた。特に、分泌経路の可視化は当初の予定以上に結果をえることができている。一方、液胞輸送経路の可視化については、形質転換植物の作成にも時間がかかっており、十分な観察までには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き分泌経路の超解像イメージングをおこなうとともに、液胞輸送経路の観察にも着手する。また、3色の蛍光タンパク質を発現する、観察用の形質転換ライン構築には6ヶ月ほどの時間を必要とため、前もって複数種のラインを準備するようにする。
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